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朝起きたら、視界いっぱいに背中が広がっていて……そこにべったりとくっついていた。
少し視線を上げると金髪が見えたから寝ている間にツムくんに抱き着いちゃったらしい。
じゃあ私の背中にべったりとくっついているのはサムくんか……。
真ん中に挟まれているからとてつもなく狭い。
離れようにも、お腹に回していた私の手は上からツムくんが包み込むように握っているから外れない……。
朝ご飯の準備しないといけないから、せめて少し手の力を抜いてくれたらと思って呼びかけてみる。


「ねぇツムくん起きて……ツムくん」
「…………なんや、もう起きる時間か」


掠れた声で返事があったかと思えば、ゴロンと寝返りを打ったツムくんに正面から抱き締められてしまう。
抱き締める時に伸ばした腕がサムくんに当たったみたいで後ろからうめき声が聞こえて、ぎゅーっと抱き着く力が強まった。
……あれ、さっきよりも身動きが取れなくなったんだけど。
ツムくんは寝やすい体勢をごそごそと探し始めて、私の頭に顔を寄せて落ち着いたみたい。


「だめだめ!お願い起きてツムくん……!」
「ン゙……いやや……このまんま(名前)と寝る」
「ツムくんはまだ寝てていいから……朝ご飯作らなきゃいけないの」
「おはようのちゅーしてや〜……せやったら俺も起きる」


そう言った後に寝息が聞こえたから、寝ぼけて言ったんだろうなぁ。
お腹に回っているサムくんの腕を外して、目の前に寝ているツムくんに体重をかけて仰向けに転がした。
ツムくんのお腹に座って、上から覗き込むように顔の横に手をついてもやっぱり起きない。
……ほ、本当にちゅーしちゃうんだからね。
ぐっと顔を寄せて鼻が触れそうな距離まで近付く。
ツムくんの寝息が唇に当たる。


「……ツムくん、おはようの、ちゅー……」
「んー……」
「ちゅーしたっ!したからねツムくん!」


バっと顔を離して、恥ずかしさから顔を手で覆う。
少しして指の隙間からツムくんを見たら、うっすらと目を開けていてぼーっと私を見ていた。
まだ状況が把握出来ていなくて、瞬きを何度かしている内に私は急いで着替えて調理室に逃げ込んだ。
……顔を洗っても火照りが冷めない。
どうにか意識を食材に集中させて準備をしていたら、外から慌ただしい足音が近付いてきた。
何?と思って手を止めて様子を伺えば、ドアが壊れる勢いで開かれて……ツムくんが立っていた。


「!お、おはよう……ツムくん」
「さっき俺、寝ぼけててん!(名前)、もう一回してや!」
「な、んの事かな」
「そういう時の(名前)は分かりやすいねん!……なぁ、おはようのちゅー、して?」


大股で距離を詰めてくるツムくんは一瞬で私の真後ろまで来た。
お腹の前で手を組んでから、髪の毛からこめかみ、頬に唇を滑らせて最後に耳元にくっと押し付けられた。
耳たぶをちろちろと舐められて、唇で何度も甘噛みをされる。
その感覚に耐えきれなくて無意識に声を漏らしたら、ツムくんの小さく笑う声が耳に直接吹き込まれて……余計に体を固くしてしまった。
私の反応に気を良くしたのか、ぎゅーっと強く抱き着いて頬擦りが止まらなくなった。


「(名前)はよーく知ってるやろ?俺がなかなか朝起きれんの。それが(名前)からのおはようのちゅーでこんな朝早くに活動してんねんで?これはもう毎朝してもらわなアカンやん?」
「……だ、から……さっき、ちゅーしたよ?」
「はいはい。包丁危ないから、一旦離れよな〜」


私の言葉は無視され、後ろから両手を掴まれて顔の横まで持ち上げられた。
そのまま肩越しからツムくんが私の顔を覗き込む。
目が合ったと思ったらそのまま唇を塞がれて、舌も絡め取られた。
……こんなの朝から刺激が強すぎる。
合宿の朝ご飯の準備なんて、まだ太陽だって昇りきってないのに。
ぐったりとツムくんに寄りかかれば嬉しそうに抱き止められて、軽々とお姫様抱っこをされた。


「俺の機嫌を良くすんのも悪くすんのも(名前)次第やで?」
「……え?」
「昨日の夜、俺に黙ってサムとイチャイチャしとったやん?めっちゃ機嫌悪なったんやから、今日はさぞかし俺の機嫌を良くしてくれるんやろな〜」


顔を寄せてニンマリ笑ったツムくんは私の唇に吸い付いて、音を立てて離れていった。
……もう十分機嫌が良さそうに見えるんだけれど、これ以上ツムくんは私に何を望むの?
とりあえずご飯の準備をしたいと言ったら降ろしてくれたけれど、作っている間ずっと後ろから抱き締められていた。
……そろそろ早起きする人たちは起きてくるかも、って時計を見上げたら調理室のドアに寄りかかるサムくんの姿を見つけてドキッとした。


「お、はよ……サムくん」
「……俺を部屋に残して2人で何してたん?随分楽しそうやったけど」
「昨日お前がやった事やろ!言われる筋合いはないっちゅうねん!」
「……なんかこんな会話昨日も聞いた」


大股で近寄って来るサムくんを見て、ツムくんは私のお腹に回していた腕に力を込めて離れないアピールをしている。
……サムくんがなんでこんな早起き出来たのか少し疑問だったけれど、距離が近くなって分かった。
私のスマホ持ってる……二度寝防止で設定していたアラーム、切り忘れてたんだ。
昨日も今朝だって、意図して片方を贔屓した訳じゃなかったのに……。
色々と問題が山積みになったけれど、その前にご飯仕上げちゃわないとと思って、調理器具に手を伸ばしたらツムくんにその手を取られた。


「……俺めっちゃ機嫌悪なったわ。また(名前)からちゅーしてもらわんとテンション上がらへん」
「ちょっ、ツムくん!今そんな話しなくても……!」
「なんやねん、ちゅーって。俺してもらってへんけど……(名前)どういう事か説明してや」


私の首筋に顔を埋めたツムくんは聞く耳を持たないようで、そのままぐりぐりと顔を擦り寄せてきた。
……朝ご飯なくて困るのは双子だけじゃないんだからね!
って声に出して言えたら良かったんだけれど火に油を注ぎそうな雰囲気だったから、しがみついたツムくんをそのままにして最後の仕上げにかかった。
皆が集まり始めたから双子に食器の準備をお願いして調理場から追い出したけれど、バレないようにツムくんの手を引いてしゃがんでもらった。


「……(名前)?」
「朝、朝だけだからね贔屓するの。部活始まったらいつも通りね……だから機嫌直して」


ツムくんの肩に手を置いて、背伸びをして距離を詰める。
……勢いそのままに私はツムくんの唇の端にちゅーをした。



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