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こちら双子サポートセンターです

部活の休憩時間に入って、コートから出てくる選手たちは汗だくだ。
ボトルとタオルに向かう姿を見つつ、その選手たちと交代するように私はモップを持ってコートに向かう。
すれ違った北さんが顎に手を添えながら歩いている姿が気になったけれど、何かあったら言葉にしてくれる人だから……今は声かけなくてもいいよ、ね?
コートのモップがけをしようとしたら、北さんに名前を呼ばれた。


「はい、何ですか?……あ、モップがけはどうしますか?」
「……いや、急ぎちゃうから後ででええわ」


珍しく歯切れの悪い北さんに私も含め、皆が驚いている。
後ででいい、って言っていたのにモップがけをしている時、北さんにジーっと見られて、緊張した……。
コート内に落ちた汗も拭き終わって戻ると、さっきの北さんの事もあって皆の視線が痛い。
双子だけは私の隣に来て、腰と肩にぎゅっと手を回してきた。
……なんでそんなに複雑そうな顔で北さん見てるの。心配してくれているのは分かるけれど、多分双子が思っている事にはならないと思う。
……怒られる事はないと思いたい。


「あの、北さん……モップがけ終わりました」
「今さらなんやけど、この人数に対してマネージャーは(名前)1人やんか……大変やって思とる?」
「え?……いや、やりがいは感じてますけど…………あの、もしかしてサポートとか足りてないですか?」
「(名前)のサポートが足りてへん訳ないやん!」
「あー、落ち着いてツムくんありがとう。最後まで北さんの話聞こ?」


私の肩を両手で揺するツムくんを宥めて、北さんに話の続きをお願いする。
聞いたら、あーなるほどね……と思った。
今日、北さんにマネージャーになりたいと直談判した1年の女の子がいたとの事。
その時に「1人でこの強豪校を支えていくのに限界がある。言わないだけで本当は苦労しているに違いない。私も同じくらい役に立つ」的な事を言われたから、その場は別れて私に質問をしてみたらしい……。


「……そいつが(名前)の何知っとんねん」
「サムくん落ち着いて、ね?」
「誰ですか、そのイキっとるブタは……」
「はいはい、ツムくんもすぐそうやって喧嘩腰にならない!…………私は皆さんの意見を聞きたいです。勝つために必要ならいた方がいいに決まってる」


その話を聞いて皆が顔をしかめてくれたけれど、双子がその感情を抑えられる訳もなく……北さんに詰め寄った。
このままここで決まる話でもないと思うから、とりあえず休憩が終わる事を伝えて、ボトルとタオルを回収していったけれど、双子だけがぶすっとした顔でその場に残っていた。
……マネージャーとして信頼、はしてくれているんだなぁ。
と思うと嬉しくなる。
双子の頬に手を伸ばそうとしたら、触れるより先に掴まれて、それぞれの頬に押し当てられた。
ツムくんは不機嫌な表情を崩さず私の手に頬擦りをしているし、サムくんに至っては手のひらに唇を押し付けてくる。


「終わりっ!ほらコート戻って!」
「……俺は絶対マネージャーは(名前)だけしか認めんから」
「それは先輩たちと相談だよ」
「(名前)が作ったドリンク以外は無理やねん。気持ち悪うて飲めへんわ」
「ツムくん……」


コートに戻る前に双子が頬に唇を寄せて、ちゅーしてきた。
…………ちゅーが長い。
音を立てて思いっきり吸い付かれたけれど、大人しく受け入れていたからか……少し機嫌が良くなっている。
先にコートに戻っていた皆には、「いつもの事か」と呆れながら見られていた。
双子の背中を見ながら苦笑い混じりのため息をついたら、監督とタイミングが被った。
被るとは思わなくて、監督に視線を向けると同じように苦笑いをしている。


「去年のIH・春校は3位……、この間のIHは2位やったやろ」
「?は、い……」
「今が一番ノってる時期やん。特に侑なんて高校No.1セッターまで言われるようなって、ここでメンタル崩されんのはアカンやろ……それはずっと見てきた(名前)がよく分かっとるんとちゃうか?」
「…………」
「やから今のままでええんちゃう?それにな、何のために俺が(名前)にも声かけたと思ってんねん!マネージャーの働きだけちゃうぞ!双子の手綱握らせるためや!」


監督の必死な言い方に思わず笑ってしまった。
……双子とセット扱いかぁ。
よく言われて来たけれど、バレーボールに関して言われた事はあまりなかったから、改めて言われると嬉しい。
私の笑い声に気付いた双子がこっちを見てきたけれど、気にしないでの意味を込めて手を振ったのに、どちらも手を振り返してくれた。
やっぱり部活が終わったら北さんには「私1人で支えてみせるから待ってください」って伝えよう。
だって、IHも春高も経験してきたマネージャーなんだから。
その監督のお墨付きまで貰ってしまったんだから自信持たないとバチが当たりそう……。


「……手綱握れるように頑張りますね」
「任せたで、宮んズのお姫さん」



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