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チャイムが鳴って、クラスに開放的な空気がドッと流れた。4時限目が終わって待ちに待った昼休み。
隣にいるサムくんから全体的にキラキラオーラが見える。さっきの時間からずっとお腹が鳴っていたもんね……。


「(名前)、もうアカン」
「聞こえてたよ、お腹鳴ってるの」
「それもやけど(名前)不足や……」
「わっ、重っ……い」


突然、ぐでっと横からのし掛かって来たサムくんを支えることなんか出来なくて、よろけたところでサムくんが離してくれる訳もなく、とりあえず椅子から落ちることはなかった。
ぎゅうぎゅう抱き締めながら、頬擦りをしてくるサムくんの勢いが止まらない。名前を呼ばれたと思ったら頬を甘噛みされた。
落ち着いて、の意味を込めて回っている腕をぽんっと数回叩くと目を合わせてくれたから、話は聞いてもらえそう。


「今日、おかずだけ詰めたお弁当も持ってきたんだけど食べる?」
「絶対食う!」
「じゃあお昼にしよ」
「せやな。(名前)の充電あんま出来へんかったけど、それはまた後でにするわ」
「……頬噛まれたことはスルーなんかーい」
「角名くんの言いたいことも分かるんだけど、ああなったサムくんって止まらないでしょ?それに意識はもうご飯だしね」


こちらの会話を気にすることもなく食べ盛りの男の子からしても大きな弁当箱を取り出して、幸せそうに食べるサムくんを濡れた頬をタオルで拭きながら角名くんと眺める。
呟くように「俺らも食うか」と言った角名くんの言葉を拾って机に弁当を広げたところで、とりあえず手をつける前にサムくんに用意した弁当箱からいくつかおかずを取り分けて角名くんに渡すと、あまり表情は変わらなかったがとても感動された。


「……(名前)、それ俺の弁当やないんか?」
「だって授業中に前からもお腹の鳴る音が聞こえたんだも、っ!?」
「(名前)〜!(名前)のツムくんが来たで〜飯食お!もう授業が長引くとか敵わんわ」


苦笑いしながら答えていたら、教室のドアがかなりの音を立てて開いたからびっくりして肩が跳ね上がる。
と同時に聞き慣れた声も飛び込んできた。
驚いてドアの方向を見ていたら、箸で摘まんだままだった玉子焼きが視界の端でサムくんに食べられていくのが見える。……幸せそうに食べているから何も言えない。
でも近付いてくるツムくんは言いたいことがたくさんありそう。


「ア゙!?何、(名前)から食べさせて貰ってんねん!(名前)、俺にもあーんしてや!」
「え、いや……あの、勝手に食べられたんだけど」
「その困った顔もかわええなあ!でも(名前)の箸から食ったのは変わらへんからな?それはズルいやん」


右隣の椅子を引いて来て私の机に弁当を置いたツムくんだったけど、正直もう机にそんなスペースないんだよね。自分のと角名くんの弁当箱でいっぱいいっぱい何だけれど……気にするタイプじゃないもんね。今だって私の弁当箱を覗いてどれを食べようか決めてるし。
少しでもスペースを作ろうと物を動かしている間にサムくんは私が用意したおかず達をひたすら食べていた。あのね、そのおかずツムくんの分も含まれてたんだけど……。



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