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いつもの風景

「「(名前)!ドリンクっ!」」
「はーい」
「「俺が先に貰う」」
「2人とも言い合いの前に水分補給ね」


部活の休憩時間になった瞬間、我先にドリンクとタオルを貰おうと駆けて来た2人は、到着のタイミングも声も揃っていた。
……さすが双子。
目の前でどっちが先に貰うとか、タオルで汗を拭いて貰うとか次から次へと言葉が飛び交っているからとりあえず同時にスクイズボトルを渡せば、素直に受け取ってくれた。
タオルもそれぞれの腕にかけたら、普通に使ってくれた。


「やっぱ(名前)のドリンクは旨いな」
「ありがとうサムくん!」
「(名前)が洗濯したタオル、めっちゃふわふわで気持ちええなあ!」
「ツムくんもありがとう!」


返事を聞いたツムくんが、私の腰に手を回して自分の方へ引き寄せた。
ツムくんの腕の中から見上げると、眉間にシワが寄った意志の強い瞳とぶつかった。
あ……これは地雷踏んだかも。
チラッと見るとサムくんがボトルを潰しながらこちらを睨んでいる。
ツムくんの二の腕辺りに手を置いて話しかけようとしたら両腕で抱き込まれた。


「ツムくん……?」
「も、って何やねん。サムのついでみたいで嫌や」
「そんなつもりじゃなかったんだけど……」
「分かっとる。(名前)がそんな子やないって分かっとるけど、ついでやなくて俺を特別扱いしてや」
「何でツムばっかり(名前)抱き締めてんねん。俺の(名前)返せや」


後ろからサムくんの腕が伸びてきてお腹の前でガッチリ組まれて後ろに引っ張られる。
どちらも力を弱める気がないから前後から圧迫されて、かなり苦しい。
頭上で行き交う言葉がだんだんと酷いものになってきた時、視界の端に北さんが歩いて来るのが見えた。休憩も終わるだろうし、この騒ぎも落ち着きそう。
やっぱり北さんによって言い合いが収められ、休憩の終わりが告げられた。皆がコートに戻って行く姿を見ながら、ボトルを回収していたら腕が後ろにそっと引かれた。


「……(名前)」
「サムくんどうしたの?」
「アイツばっかりズルいわ……俺かて(名前)抱き締めたいねん。俺もちゃんと構ってや」


言葉とジト目で圧力をかけてくるサムくんの背中に腕を回した。
そしたら、嬉しそうにサムくんもそれはもう痛いくらいに抱き締め返してくれて、満足したのかコートに戻って行く。
……これが私と、宮兄弟の日常。賑やかで楽しい幼馴染みとの時間。
ツムくんとサムくんから大切にされているんだなとは昔から感じていたけれど……幼馴染みだからといって男女の距離感が麻痺させられているのは気のせい、じゃないよね……?
とは思いつつも、この日常が当たり前に感じている辺り、私も後戻り出来ない程に絆されていたのかな。



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