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校門が見えた時「先行くなーっ」の声を残して、ランドセルを自分たちの教室に置いて、遊びに向かうであろう双子の背中を見ながらゆっくり教室まで歩くいつもの朝。
小学校に入学して、周りはやっぱり使う言葉が違ったけれど少しは慣れたと思う。
教室に入って、ランドセルを置いたらクラスの中心にいる男の子たちに囲まれた。


「なぁ、なんで(名前)ちゃんは俺たちと話し方がちゃうの?」
「あ、えっと……引っ越して来たか、ら」
「でもこっち来てしばらく経ったんとちゃうの?いつまで経っても変わらんやん!話し方ちゃうから仲間外れや!」


男の子たちに囲まれて、話し方が違う事を指摘された。
引っ越した時に感じていた事だったけれど、こうして面と向かって言われると……かなりキツい。
仲間外れ、仲間外れと騒ぎながら囲まれて何も言い返せないまま、壁際に追い込まれた。
周りは誰も助けてくれない。
女の子たちも笑って見ているだけで、いよいよ耐えられなくなって涙があふれ出そうになった時、目の前に誰かの背中が現れた。


「ええ加減にせえよ……会話出来とるんやから、話し方なんか別に何でもええやろ」
「!……侑くん」
「(名前)ちゃんが気にする事なんて何もないで。俺は好きやしその話し方。やって(名前)ちゃんの見た目に合ってるで」
「治くん……」
「助けるの遅なってごめんな?同じクラスの俺が近くにおらんかったから……(名前)ちゃん泣かんといて」


私の手を引いて、その輪から引っ張り出してくれたのは双子だった。
侑くんは男の子たちに向かい合っているし、治くんは私の頭をずっと撫でている。
誰も助けてくれないと思ってたけれど、この中で双子だけが、侑くんと治くんだけが私の味方をしてくれたんだ……。
クラスの男の子たちに言われた事は兵庫に来てからずっと気にしていた事だった。
それを指摘されて悲しかったけれど、双子が認めてくれたのが嬉しくて我慢していたはずの涙が止まらなくなった。


「あっ、(名前)ちゃん泣かんといて!?」
「ううん、あのね……2人が、」
「……自分ら(名前)に謝れや」
「何やねんさっきから……あ!侑と治は(名前)ちゃんの事が好きなんか?やから俺らと話し方ちゃうのに仲間外れにせえへんの?やーい女好きー!」
「大好きやけど、それが何か問題あるんか?」
「……(名前)以外はどうでもええわ」
「な、何やねん……マジで答えるとかダッサ。もうええわ!お前らも仲間外れやから!」
「あ、おい逃げんなっ!(名前)に謝れ言うてるやろ!」
「侑くんいいのっ!……2人が助けてくれたのが嬉しかったから泣いちゃたの」


……この日から双子は少し変わったと思う。
呼び捨てで私の名前を呼ぶようになったし、朝も学校に着いたらすぐ遊びに行っていたのに、一緒にいる時間が増えた。
よく手を繋ぐようにもなった。
……それから、気持ちをストレートにぶつけてくれるようになった事が一番変わったところかもしれない。
ある日、なんでそこまでしてくれるのか聞いた時があった。
私としてはすごい勇気を振り絞って聞いたのに、双子はなんて事ないように答え出した。


「俺ら双子やから、他の人とおらんでも俺らだけで良かったんやけど、(名前)と会ってからは3人でおるのが楽しくなってん」
「だから(名前)とずっと一緒におれたら嬉しいねん!」
「で、でもそれだけで……」
「初めて会った時に(名前)めっちゃ緊張してたやろ?でもかわええなとは思ててん。そしたら笑った顔がほんまに可愛くて好きになってもうた!」
「一目惚れってやつやな」


……私にはまだ難しかったけれど、好きか嫌いかで聞かれたら、もちろん双子の事は好きって答える。
それで今はいいって言われた。一緒にいてくれればそれでいいって。
過ごしているうちにちゃんと好きになってくれればいいからって言われたけれど、一緒にいていいんだ。
いつまで一緒にいられるか分からないけれど、その時まで双子とたくさん思い出が作れたらいいな……。



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