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「あ、俺です」
「サムくん、あのこれはどういう事?」
「アカンかった?やって(名前)と食いたかってん」
「……でも今これカップル限定って言わなかった?」
「どう見ても俺と(名前)、カップルにしか見えへんから何の問題もないで」


店員さんに聞こえないように顔を寄せ合って小声で話していたせいもあって、カップルにしか見えなかったようで普通にプレートが置かれた。
サムくんは私が教室で割引券を見せた時にこのカップル限定プレートの存在を見付けていたからデートだと思っていたみたい。
これをいつ頼んでいたのかは分からないけれど、目の前に置かれているプレートを見るとハートの主張が凄すぎて……。
カップルだと嘘をついた事を悪びれる事もなく開き直っているサムくんの姿に、様子を伺っていただろう店内からは悲鳴が聞こえてくる。


「ねぇサムくん写真撮るって言ってるけど、どうする?」
「ほっぺにちゅーして」
「えっ!?」
「やから、(名前)からほっぺにちゅーしてって。俺は口でもええけど」
「う〜〜っ……ほっぺでお願いします」


サムくんが私を両腕でがっちり抱き締めるから、逃げ場がなくなった。しかも早くと顔を寄せてくる。
店員さんがにこやかにカメラを構えて待っている。
目を閉じてサムくんの頬に唇を押し当てたら……感触が少し違う。
サムくんは正面を向いていたはずなのに触れる直前に顔をずらしたみたいで、私は唇の端にちゅーをしていてその瞬間を撮られた。


「(名前)かわええ。見て、俺こんな幸せそうな顔しとったんやな。これ貰てええか?」
「……いいよ」
「毎日眺めてまうな。でも本物の(名前)が一番かわええで」


稲高生もいた店内だったから、次の日……を迎える前にその日の内にクラスのグループトークの通知が止まらない。
中身はどれも私とサムくんが付き合っていたのかというもので、どうしようか悩んでいたらサムくんが一言「せやで」って返信したせいで収拾がつかなくなった。



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