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中学の頃はここまでじゃなかったのに。なのに高校に上がってから直球ド真ん中で気持ちを伝えてくれる。


「鞄やなくて俺がちゃんと顔隠したるからこっちに来てや〜」
「俺の方が上手くやったるから肩に寄りかかってや」
「サムより俺やろ?」
「ツムやなくて俺やんな?」
「……朝から元気だね侑と治は。で、この丸くなってるのって(名前)だよね」


バスの停車後に聞こえてきた声は角名くんのもので、目の前の座席に座ったらしい。
ふらりと顔を上げた途端、手にしていたスマホで撮られた。本当に角名くんって面白そうな事に関しては目敏いよね……。
撮った写真が欲しいと騒ぐ双子に何があったのかしれっと聞いてるし、隠すような事でもないと思っている双子は絶対に普通に伝えるに決まってる。
顔の火照りがなくならないのもキスマークの喧嘩に巻き込まれて恥ずかしかったからで、角名くんにも知られたくないのが本音だ。


「しゃ、写真なら一緒に撮るから!だから待って2人共言わないで!」
「?(名前)と一緒に写真は撮るけど、何で言うたらアカンの?隠す事なんて何にもないで?」
「せやなあツム。(名前)は俺らのもんって周りにアピールしたいからキスマーク付けただけやん。隠さんでええやろ」
「……なんで言っちゃうのかなぁ」
「正面から普通に見えてたけど、それぞれ双子から付けられたとか面白すぎ」


朝どうにか髪で隠していた首筋も、さっきツムくんに確認された時に全部後ろに持っていかれてたの忘れてた。
制服の上から付けられたからどう頑張っても服で隠れないし、サムくんが付けたもう一つはそれよりも上だったから髪の毛で隠すしかなかったのに……。
また首筋が隠れるように、そっと髪を前に流した。
部活の時みたいに緩くおさげにしていれば隠れそうだな。しばらくは部活以外でも髪結んでよう……。


「もう髪結ぶん?俺がやったるで」
「じゃあこっちは俺やる」
「あ、うん……じゃあお願いね」
「任しとき!もっと(名前)を可愛くしたるからな」
「(名前)の髪結ぶんは俺らの役割やん。やるのは当たり前やで」


双子はなぜかいつも髪を結びたがる。
だからもう慣れたもので手櫛でぱっぱとまとめて結んでくれるから、両手首に付けているシュシュを取りやすいように腕を出しておけばいい。
黙々と髪を手櫛でとかしていたと思ったら、双子はまさかの上の位置で揃って髪をまとめ始めた。
慌てて止めようとしている私を無視して綺麗にまとめている双子に悪意しか感じない。


「こういう時の双子って以心伝心って言うの?凄いよね。だっていつも(名前)の髪、下の方で結んでるじゃん」
「……分かってるなら角名くん動画録ってないで2人を止めてよ」
「いいじゃん。似合ってるよ。キスマークも見えるし」
「(名前)、可愛く結べたで。褒めて?」
「首周りのまとわりついとった髪の毛なくなってスッキリやんな!かわええ〜!」


どうしてこういう時だけは喧嘩もせず、物事が進むんだろう。
ツムくんがスマホを角名くんに渡して写真を撮ってもらおうとしている。
双子がさらにぎゅっと寄って、私の指先を絡め取ってポーズを決めたり、抱き着いてきたり……それはもうバス停に着くまで撮影会が続いた。
さっきまであんなに喧嘩してたのに、双子は急に結託するから何だかいつも丸め込まれてる気がする……。



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