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バスでの登校中、車の揺れにうつらうつらしていたら右隣に座るツムくんが私の手をするりと握り込んで指先を絡めてきたと思ったら、次の瞬間、二の腕を思いっきり掴まれて肩が跳ねた。
跳ねたせいで私の肩に寄りかかって寝ていたサムくんも起きて、びっくりしている。


「(名前)ちょっとこっち向いて貰えるか?」
「?うん」
「何やツム……はよ(名前)戻してな。寝られへん」
「うっさい、サムは黙っとれ」


ツムくんに両手で頬を包まれて、右に左に顔が回される。
それから指がYシャツのボタンにかかって一つ外されたから、慌ててその手を掴んで止めさせた。驚きと恥ずかしさから心臓がばくばくしてる。
外されたボタンを留め直してツムくんと向き合うと、私を越えてサムくんを見ながらかなり顔をしかめていた。
ちらっと隣のサムくんも見ると訝しげにツムくんを見ている。


「……俺の付けたキスマーク消したやろ」
「消してへん。上書きしただけや。もう寝てええか?(名前)肩貸して」
「ええ訳ないやろ!噛み付いて消しやがって……。(名前)に付いた初めてのキスマークやぞ!消すとか何考えてんねん」
「ハァ!?ツムが見境なく襲って勝手に付けたキスマークを何で(名前)の肌に残しておかなアカンねん!」
「待って、2人共お願いだから待って!その話ここでしないで!声大きいからっ!」


このバスだって朝早いとは言え、乗客が私たち以外に全くいない訳じゃない。
最初は抑えて小声だったけどヒートアップしていく双子の声量は段々と大きくなって、バス全体に聞こえるくらいになっていた。
……まだ稲高生がいないことがせめてもの救いだったかもしれない。
それでも話題が話題だったから、注目を集めたせいでもう顔は上げられない。しかも一番後ろの座席だから全員からダイレクトに視線が飛んでくる。


「(名前)の顔、タコさんみたいで真っ赤やなあ……美味そうや」
「顔隠したいん?じゃあ俺の胸に来たらええ。ぎゅーって抱き締めて(名前)の事、隠したるで」
「……鞄で隠す」


視線なんて全く気にしていない双子は当たり前だけど普通に話しかけてくる。
頬を突っついてくるサムくんと腕を揺するツムくんに挟まれて、膝に置いていた鞄の上に顔を腕で隠しながら伏せた。
正直な話、あそこまで想ってくれていたのは嬉しかったけど、ちゅーされるとか、キ、キスマーク……とかはびっくりした。
それにこの双子はいつでも自分の気持ちに素直だから、伝え方とかスキンシップが激しくて本当に心臓がいくつあっても足りない。多分いつまで経っても慣れないと思う。



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