06:幼馴染みとの遭遇


お弁当を食べ終わり、私は教室に戻った


そのまま授業を受けて、放課後になった


せっかくだからと、教室を出て、校内の散策をするため、一旦校庭にでると…


「おーい、江藤!」


『へ…?』


突然声をかけられ、私は驚く


振り向くと、立海のキャラが勢揃い…


え、どうして…


と思ってるとその中から丸井くんが進み出てくる


「いたいた。こいつだよ、幸村くん」


「へぇ、この子が…」


『…え、何の話…?』 


私が動揺していると、幸村くん(らしき人)が自己紹介を始める


「はじめまして、江藤さん。俺は幸村精市。さっきは丸井が世話になったね」


『は、はあ…』


丸井くんにお世話をしたと言えば…さっきのお弁当のことかな…?


と思い出していると…


「さっきはわざわざ丸井にお弁当を分けてくれてありがとう」


と幸村くんに微笑まれ


『あ、いえ…』


と苦笑をすると


「それで、折角帝光の生徒と知り合ったから、帝光のテニス部の話を聞きたくてね」


『…あー…でも私、つい最近事故に遭って、記憶が曖昧なんですよ…』


「えっ、大丈夫なのかい?」


幸村くんが驚いて近づいてきて、心配そうに私の背中に手をおく


『あ、すみません、心配させてしまって…』


「いや、いいんだよ。うちの部員がお世話になったしね」


『でも…お世話って言っても、お弁当を分けたくらいで…』


「それが助かったんだよ。丸井はお腹が空いてるとろくに動かないからね」


『そ、そうなんですか…』


と苦笑して言った


「…というか、立海って神奈川の中学ですよね?練習試合かなにかですか?」


と問いかけると


「実は、今度うちの知り合いのテニス部と、帝光のテニス部も含めて練習試合を行うことになっててね。それで、偵察に来たんだよ」


『…て、偵察ってそんな簡単にばらしてもいいんですか…?』


と緊張しながら聞くと


「ふふ、俺たちはどこと当たっても負けるつもりはないからね」


と不敵に微笑んだ幸村くん


『…わぁ』


さすがだぁ…と思っていると


「ふふ。…それで、江藤さんが料理上手だって丸井から聞いてね。できたら、俺たちの学校のマネージャーに…「おい!江藤!」…おや、君を探しているみたいだね」


幸村くんの言葉を遮り、こちらに向かってくるのは、キセキの世代の赤司くんだった


『…え、貴方は…』


「俺は赤司征十郎だ。先生がお前のことを呼んでいたからね、呼びに来たんだ」


『…え、わざわざありがとうございます』


赤司様がわざわざ呼びに来てくれたことに驚いていると、赤司くんは私から立海のみなさんに視線を移す


「…そちらは?」


『あ、こちらは…』


と自己紹介をしようとすると、幸村くんに口を塞がれ抱き寄せられる


え…!?


「少し黙っててね」


と耳元でささやかれ、私はこくこくとうなずく


「はじめまして、立海大付属中学の幸村です。実は、江藤さんに用事があってここまで来ました」


「…ほう、立海大付属の。はじめまして、3年の赤司です」


『!?』


ま、まさか…この世界だと幸村たちとキセキの世代って同い年なの…!?


と驚きで目を見開く



「…ですが、先ほど伝えた通り、江藤はこれから用事がありますので」


そういうと、赤司くんは私に向かって手を差し出す


私が驚きに目を瞬いていると


「…ふーん。それじゃあ、江藤さん、用事が終わったらここに連絡をくれるかな?」


と言って、幸村くんが渡してきたのは、連絡先が記された紙だった


幸村くんの笑顔に、私は何となく怖くなってうなずくと


幸村くんは満足そうにうなずいた


「それじゃあね、江藤さん」


そう言うと、幸村くんは私から手を離して他の人たちも連れて去っていった







「…ふう、何をやってるんだ、みのり」


『…えっ』


突然赤司くんに名前呼びにされて驚く


えっ、赤司くんと私ってなんの関係…!?


「…あぁ、君は事故の影響で記憶が曖昧なんだったね」


『えっ、はい…』


「俺の名前は知ってるかい?」


『え、えっと…』


私がなんと答えたらいいか戸惑っていると、それをわからないと勘違いしたのか赤司くんが改めて自己紹介してくれる


「俺は赤司征十郎。お前とは幼い頃からの幼馴染みだよ」


そう言って私に微笑んでくれる赤司くん



『…おさ、ななじ、み…?』


えっ、私と赤司様が…?


「…ふふ、俺と初めて出会ったときも、そんな顔をしていたね」


『えっ』


私が自分の頬をさわると、赤司くんは笑う


「…ふふ、昔から変わらないな、お前は」


『…あかし、くん…』


その笑顔は、なんだか寂しげな笑顔だった





幼馴染みとの遭遇

(まさか、幼馴染みが赤司くんなんて…)



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