05:唐突な出会い


まさか事故のことが周知の事実だったとは…


朝のHRの後にクラスメイトに知らされ、私はただただ驚くだけだった


でも、これなら過ごしやすいかもしれない、と考え直し、今現在昼休みである


『…ふぅ、お昼休みか』


私は母に言われ自分で作ったお弁当を片手に、中庭に来ていた


『…この辺なら誰もいないかな』


中庭にあるベンチに腰かけて、お弁当を広げる


本当はクラスメイトの子が一緒に食べないかと誘ってくれていたのだが、慣れるまでは一人で食べた方が楽だろうと思い、胸が痛んだが断った


『…ふう、風が心地いい…』


ベンチに座っていると、風が吹き抜けて心地よい感じがする


『…さて、食べますか』


私はお弁当を広げた


『いただきます』


モグモグと食べる


…にしても、自分で選んだ道だけど、一人ご飯って寂しいな…


私は寂しく思いながらも食べ続けた


「…うまそう…」


『えっ!?』


私が声に驚いてその方向を見ると、一人の男子生徒がいた


…えっ、この人、立海の丸井ブン太…!?


どうしてここに…と思いながら見つめていると、丸井くんはこちらに寄ってきて、しゃがんで私の手元を見ていた


『…』


…えっ、私のお弁当を見てる…?


私は試しにお弁当から卵焼きを箸に取り、丸井くんの視界で卵焼きを左右に動かす


すると、丸井くんの視線はじーっと卵焼きを見ていた


『…』


あまりにもじーっと見つめているので、丸井くんの口許に卵焼きを出してみた


すると、丸井くんはあーんと卵焼きを頬張り


「んー…80点」


『えっ!?』


「ふっ、ははは!嘘だよ、旨かったって!」


突然点数を言われ驚いたが、丸井くんはジョーダンジョーダンと笑っている


私の卵焼きは80点なのか…と思いながら自分も卵焼きを頬張る


…普通に美味しいと思うんだけどな


そう思っていると、次は丸井くんはタコさんウインナーを見ている


仕方なしに丸井くんの口許に運ぶと、彼は遠慮せず頬張る 


…にしても、なんで丸井くんがここに…


不思議に思いながら訪ねた


『…あの、制服からしてあなた他校ですよね?どうしてうちに…』


と尋ねると


「そうだった!俺この学校の偵察に来たんだよ」


『偵察…』


え、偵察に来たってそんな簡単に暴露しちゃっていいの?


と思いながら困惑していると


「これは、俺とお前だけの秘密な!」


と丸井くんは笑っている


「俺、立海大付属の丸井ブン太、よろしくな!」


『あ、はい…帝光中の江藤みのりです、よろしくお願いします…』


私は困惑しつつ差し出された丸井くんの手を取る


「…にしてもお前の母ちゃん料理うまいのな」


『…あ、このお弁当はお母さんに言われて自分で作ったもので…』


「え、マジ!?お前超料理うめーじゃん!」


『え?あ、ありがとうございます…』


自分で作ったと言うと手放しに誉められ、なんだかくすぐったい気持ちになる


「…うまそーだなー…」


そう言って私のお弁当を見つめ続ける


『…ま、丸井くん、お弁当は…?』


と問いかけると


「忘れた」


と言い切り、私は面食らう


『だったら購買に行けばいいんじゃ…』


「いや、他校の生徒が他校の購買行くとかダメだろ」


『あ、そっか…』


丸井くんに正論を言われ、言葉に詰まる


「なー、もうちょっとくれよ」


『えっ、私のお弁当!?』


「な、良いだろ?」


丸井くんが眉をハの字に曲げてこちらをうるうるの見つめてくる


…う…


『…はぁ、わかりました』


ここまで言われたら仕方ない…


私はお弁当箱からおかずとご飯を半分取り出し、お弁当箱の蓋にのせて渡す


「やっりぃ!ありがとな!」


丸井くんは嬉しそうに受けとると、私が渡したたまたまお弁当に入ってた爪楊枝で食べ始める


「んー!うめえ!」


『そ、そうですか…』


私は苦笑しながら丸井くんが食べるのを見つめる


旨い旨いと食べてくれると、私も作ったかいがあるな…なんて思っていると


「ふー、ありがとな!」


『あ、はい…』


丸井くんは食べ終わったのかほっと生きをついている


早いな…


そう思っていると、どこからか丸井くんを呼ぶ声が…


「…い!おーい!丸井せんぱーい!」


「…お、赤也が呼んでる」


あ、赤也も来てるんだ…


「じゃ、弁当ありがとな、また食わせてくれよな!」


と言うと、丸井くんはかけて去っていった







唐突な出会い

(帝光で立海のキャラに会うなんて驚いたな…)



back

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -