08

 

「あ、いえ・・・」


慌てて頭を振って違うと否定する。


「・・・歩けるか?」


「あ、はい。このクナイは・・・」


「ああ、白蛇が投げつけてきたやつだ」


咄嗟に投げつけたのが上手く刺さった。


「・・・少し、話をしよう」


菘は和葉の目を見てゆっくりと頷いた。


場所を変えようと言って和葉は自室に菘を連れてきた。


窓を開けると彼は煙管を加えて、ゆっくり白い息を吐いた。


不意に、風と共に漆黒の影が舞い降りた。


「お取り込み中の所、申し訳ありません。蒼詠、只今戻りました」


「ご苦労。悪いな」


「いえ」


目を伏せて軽く頭を下げると蒼詠は、背後に座る菘に首だけ向けた。


「ついにお話なさるのですか?ならば・・・僭越ながら私も」


和葉に向き直ると、彼は瞬きを一つ返した。


それを見て、蒼詠は向かい合う二人の間に座る。


「では―――人と妖が争ったことはご存知ですか?」


人と妖は今より遥か昔に戦をしていたというのは聞いたことがある。


しかし、人が朝廷と幕府に別れた頃から妖との表だった戦は無くなったとも聞く。


それを言うと、蒼詠は頷いた。


「そうですね。人と妖が全面的に争っていたのは今から数百年前。今は朝廷と幕府の問題の方が大きい。ですが・・・どこにも属さない者たちもいる」


「ーーーつまりは俺達だ」




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