06

 








* * *





静かな室内に、衣擦れの音だけが響き渡る。


懐から一枚の扇を取り出すと、斎紫は扇を開き、立ち上がる。


『―――』


一度で良い。


力ある巫女よ。


応えよ。


『その身、お借りする』




* * *





―――同時刻。


暗い室内で風早は目を開いた。


口元に指をあて、妖艶に孤を描く。


「死に急ぐか」


光を帯びた彼の目は、彼本来の色ではなく、真っ赤に光っていた。











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