05
「・・・くっ・・・。すみません。ちょっと、頭に血が上ってしまって・・・」
前髪を無造作にかきむしると白蛇はくるりと背を向けた。
「祓い屋の件は任せます。ですが・・・」
「ああ。分かっている。そっちはおやっさんと相談しない事にはなんとも」
「・・・失礼します」
ふわりと窓から飛び降りて着地すると、そのまま一瞬にして白蛇は姿を消した。
それを菘は呆然と見送った。
「白蛇様は・・・一体何者なのですか」
「―――さて。何だったかな・・・そういえば、最初は命を狙われていたんだったか」
「白蛇様が?」
「俺が」
「えっ!?」
「あいつは元、暗殺者。不老不死を望んだ人間によって生み出された混血だ」
何も言えず、菘は押し黙る。
「言っただろう?ここでは些細な事だと」
「そう・・・ですね」
「気にするなというのは無理だろうが、あまり深く考えるな」
「はい・・・」
「驚いたか?」
「はい」
「あれがあいつの本性だ。お前がいつも見ているあいつは業務用の仮面だ」[ 52/61 ] [*戻る] [次へ#]
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