07

―教皇の間―







すっかり夕暮れになり、
世界各地を探しまくった黄金聖闘士たちは疲れ切っていた。










「黄金聖闘士全員が探しても見つからないって、どういうことだよ…。」





「もしかして、地上にはいないのでは…?」





「神の持つ小宇宙なら、少しくらいわかってもおかしくないと思いますからね…。」





「それを全く感じないとなると…。」







その言葉に、ポセイドンとハーデスが反応した。







「あやつは小宇宙を隠すのがうまい。
それなりに近づかないとわからないのも無理はないだろう。」




「現に、我らだとて小宇宙をたどれないのだからな。」




「優雅に茶を飲みながら言われても説得力に欠けるな…。」







優雅に紅茶を飲む二神に、必死に探してきた苦労を無駄にされた気がする黄金聖闘士。








「だが、二流三流の神ならまだしも、オリンポスの12神である上等神のあやつが見つからんのはやっかいだな。」




「見つかりませんでした、で済むようなことではない。
見つからなければ洒落にならん。」










深くため息をつく二神に、何となくだがようやくことの重大さを理解してきた黄金聖闘士。
とりあえずムウがもう一度提案する。










「もう一度、分担して探しに行きましょう。」





「そうだな。もう少し、範囲を広めよう」






「そうだな。」






「それしかねえだろ。」











げっそりした顔で頷くデスマスク。
適当に分担して、さあ行くぞとなったときに











「!?
な、なんでハーデスとポセイドンが?!」





「ど、どういうことだ!」










全員が慌てた声の方向を向くと、青銅聖闘士たちが臨戦態勢を作っていた。













「星矢、大丈夫です。
ハーデスとポセイドンは今回人探しをしているだけですから。」







臨戦態勢を保つ青銅に沙織がそう声をかけると、眉をひそめた。







「…人探し?」






「どういうことですか?」




「ある神が行方をくらませてな。
我らが直々に探しに来たのだ。」










むっつりと答えるハーデス。
ポセイドンも苦笑しながら付け加えた。











「おぬしたち、ヘスティアという名の女神を知らんか?」





「…ヘスティア?」





「…誰だ、それは。」








「ヘスティアは、炉をつかさどる女神です。」








一輝の疑問に、沙織が答えた。








「炉…?」




「ろってなんだ?」





「かまどの神様ってことだよ。」








星矢のはてなに、苦笑しながら瞬が答える。
だがそれでも釈然としなさそうな星矢。









「何で竈の神様なんてをわざわざ探してんだ?」







素朴な疑問に、ハーデスとポセイドンは眉間のしわを深めた。









「我らだとて探したくて探してるのではない。
ゼウスの頼みだから聞き入れているだけだ。」





「竈と聞くと、大したことのようには思えんがあ奴は炉を囲む家族を守る神でもある。」






「炉は犠牲をささげる場所…つまりは祭儀や祭壇をつかさどる神でもあり、家庭の延長は国。
つまりは国家統合の神でもある大神だ。」





「今回、祭壇に捧げるための薪をいただくのも、ヘスティア様からなのです。」












その言葉に、青銅たちは目を見開いた。









「え!?」





「沙織さん、それって…聖木のこと?!」






「!」






「え…?
そうですが、それがどうか…?」












prev next

bkm
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -