「わあ!ティアさんすごい似合ってる!」
「本当ですか?あまりこういう服は着たことがないとですが……。」
「ほんとだよ!すっけえきれい!」
今時の洋服を着ているティアに、瞬と星矢がはしゃぐ。
遠慮するティアに2人がごり押しして着せたのだが、
その姿は先ほどとは違う雰囲気を出している。
「ティアは一応仕事の途中なのだから…迷惑かけるな」
「いいのか、ティア。
聖域に行くのに、その格好で……。」
「ええ。構いませんわよ。
たまにはこういう姿をしたって罰は当たりませんわ。」
「そうか……。」
うれしそうなティアに、三人は言うのをやめた。
「なあ!今度はアイス買おうぜ!
沙織さんからお小遣いたくさんもらったんだし!」
「もう、星矢はおなか壊しちゃうよ?」
「甘いモノは、好かん。」
「たまにはいいかもな。」
「ティアはどうする?」
「食べてみたいですわ!」
一輝以外の五人はそれぞれ好きなアイスを買い、食べながら歩いていた。
「そろそろ聖域にいかないといけない時間だな」
「え?もう?」
「もうそんな時間なんだ……」
「楽しい時間は、すぎるのが早いな。」
「全くですわ。
…でも、思い出に残りましたわ。」
「……あぁ。俺たちもこうしてのんびり過ごせたことを忘れないな。」
「いままで、殺伐としていたからな…。」
「……………。」
ティアが徐に腕につけていた5連の金の腕輪の外した。
「これを、みなさんに。」
「え?」
「いいよ、これ高いだろ?」
「俺たちには過ぎた品だから、受けとくわけには……。」
「心遣いはうれしいが……。」
「そんな、モノで返そうなどと……。」
首を振り、断ろうとする五人にティアはフルフルと首を振った。
「これには、加護がついています。
お守りみたいなものですわ。だから。受け取ってください。
これからのあなた達の人生に幸があるように…。」
『……。』
そういわれると断れず、五人はしっかと受け取り腕につけた。
「似合ってますわ。」
「へへっ!ありがとティア!」
「僕らのために、ありがとうございます。」
「ありがとう、ティア。」
「大事にする。」
「…ありがとう」
「いいえ、お礼には及びませんわ。」
六人は、笑いながら聖域へと向かった。
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