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あぁ何でこんなにも気分が悪いのだろうか。 目の前ではワイワイと騒いでいる幸村と丸井がいて、そんな二人の様子をボーッと眺めているだけの俺。 別に仲間外れにされたとか、そんな感覚ではない。 だってこんなこと、今までに何回もある。最早、日常的ですらある。 二人を見ているだけだって苦とも思わない。寧ろ、楽しげにしている顔に温かな気持ちになるくらい。 だからこんなにイラついている自分が不思議に思えて仕方がない。 それもこれも、きっとあんな言葉を聞いてしまったからだ。 原因は幸村。 『仁王、お前のことが一番好きだよ』 なんて言っておきながら、何で丸井と仲良くなんて俺の前でできるんだ。 あれは嘘だったのか。 もしかしたら、幸村のいつもの思い付きで詐欺師に詐欺をかけてやろうなんて、そんなちょっとしたイタズラだったのかもしれない。 だけど、そう思えば思うほどにムカついて、悲しくて。 好きだと言われてちょっとでも喜んだ自分が惨めに思えて。 あぁ、騙されるのってこんなにも辛いことなんじゃな。 憂う (どうして俺だけの君になってくれないの?) 120320 ヤキモチ仁王 |