恋する動詞111題 | ナノ

41.憂う(仁幸)



あぁ何でこんなにも気分が悪いのだろうか。



目の前ではワイワイと騒いでいる幸村と丸井がいて、そんな二人の様子をボーッと眺めているだけの俺。


別に仲間外れにされたとか、そんな感覚ではない。


だってこんなこと、今までに何回もある。最早、日常的ですらある。

二人を見ているだけだって苦とも思わない。寧ろ、楽しげにしている顔に温かな気持ちになるくらい。


だからこんなにイラついている自分が不思議に思えて仕方がない。


それもこれも、きっとあんな言葉を聞いてしまったからだ。





原因は幸村。





『仁王、お前のことが一番好きだよ』



なんて言っておきながら、何で丸井と仲良くなんて俺の前でできるんだ。

あれは嘘だったのか。


もしかしたら、幸村のいつもの思い付きで詐欺師に詐欺をかけてやろうなんて、そんなちょっとしたイタズラだったのかもしれない。


だけど、そう思えば思うほどにムカついて、悲しくて。



好きだと言われてちょっとでも喜んだ自分が惨めに思えて。




あぁ、騙されるのってこんなにも辛いことなんじゃな。




憂う

(どうして俺だけの君になってくれないの?)





120320



ヤキモチ仁王


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