38.気づく(8ブン) | |
自分にこんな感情があるなんて。 可愛らしい人だとは前々から思ってはいましたが、そんな気持ちが"恋愛"に変わってしまうなど、誰が想像したでしょうか。 人は、自分にないものを持っている人に惹かれると言いますが、本当に、そうかもしれませんね。 「例えば?」 「例えば…そうですね、身長でしょうか」 「それは俺だろい。殴るぞ…」 「冗談ですよ。丸井くんは私と違って明るく、社交的で…感情を表に出せます」 「…うん」 「それに、誰にだって平等に笑顔を向けて、平等に元気を与えてくれます」 「やめろよ、はずいだろっ」 「いいえ、恥じることなどありません」 赤くして、頬を膨らませた彼が恥ずかしげに顔にに手を当てる姿に、自然と微笑んでしまいます。 「だって私は、あなたのそんなところを好きになったんですから」 頬に手を添え、こちらへ持ち上げると照れ臭そうに笑う丸井くんの顔。 こんな丸井くんを、仁王くんや幸村くんは見たことなどないでしょうね。 そう思ってしまうのは、きっと彼を好きで仕方のない私の嫉妬心のせいで生まれた優越感。 気づく (嫉妬するほど、君が愛しい。) 120318 |