恋する動詞111題 | ナノ

38.気づく(8ブン)



自分にこんな感情があるなんて。


可愛らしい人だとは前々から思ってはいましたが、そんな気持ちが"恋愛"に変わってしまうなど、誰が想像したでしょうか。


人は、自分にないものを持っている人に惹かれると言いますが、本当に、そうかもしれませんね。



「例えば?」


「例えば…そうですね、身長でしょうか」


「それは俺だろい。殴るぞ…」


「冗談ですよ。丸井くんは私と違って明るく、社交的で…感情を表に出せます」


「…うん」


「それに、誰にだって平等に笑顔を向けて、平等に元気を与えてくれます」


「やめろよ、はずいだろっ」


「いいえ、恥じることなどありません」


赤くして、頬を膨らませた彼が恥ずかしげに顔にに手を当てる姿に、自然と微笑んでしまいます。



「だって私は、あなたのそんなところを好きになったんですから」

頬に手を添え、こちらへ持ち上げると照れ臭そうに笑う丸井くんの顔。


こんな丸井くんを、仁王くんや幸村くんは見たことなどないでしょうね。


そう思ってしまうのは、きっと彼を好きで仕方のない私の嫉妬心のせいで生まれた優越感。




気づく

(嫉妬するほど、君が愛しい。)



120318



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