恋する動詞111題 | ナノ

18.触れる(侑謙)




「…やっぱ東京ってすごいな」


「せや。俺も初めは慣れんかったでぇ〜ご近所付き合いも大変や」

全国大会のため東京にやってきた謙也を案内してやっている。


何にでも驚く謙也の反応が可愛くて仕方ない。

しかもこうして会うのは半年ぶりだ。


「おばさん等元気しとる?」


「あぁうちのオカンなんか、侑士侑士うるさいわ」


「そうなん……お前は?」


「は?」


「お前は侑士侑士うるさくないん?」


「ばっ…んな訳あるかい!///」


「図星なんか」


「ちゃう!ちゃうからな!」


「じゃあ明日白石くんに聞いてみよー」


「白石はやめろ!アカン!!」


「素直に認めたらどうや謙 也 く ん」


「うっざい!東京かぶれめっちゃうっざい!」


「そんな東京かぶれに惚れたんはどこのどいつや」


顔を真っ赤にしながらギャーギャー騒ぐ恋人を前に、冷静で居られる訳ないやん?


いちいち可愛い反応してくれる謙也を、ついつい苛めたなんねん。


「はいはい悪かったな!こんな伊達眼鏡に惚れてもうて」


「ま、良えわ。

せっかく来たんやし、楽しまなな…ほら」


「…へ?」


「誰かさんが迷子にならんように手ぇ繋いであげます言うとるんや」


「アホか!もうそんなガキとちゃうわ!」


「あーはいはい。じゃあとりあえず久々やしこれぐらいはさせてぇな」


未だに顔を真っ赤にして俯いている謙也の腕を引いて、抱き締めた。


「なななな、何を…」


「恋人抱き締めて何が不思議なん?」


「…ほんま、アホすぎるっちゅー話や」



口ではそう言っていたけど、彼の腕もしっかりと俺の背中に回されていた。




触れる

(どろどろに混ざってしまいたい)


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