恋する動詞111題 | ナノ

17.自惚れる(幸仁)




「もうすぐ夏だね」


「そうじゃな…」


「みんなは海とか、行くのかな」


「どうかのー」


「仁王は行く?」


「俺は…日焼けするの嫌だから行かん」


「えー、じゃあ夏はテニス以外遊びに行かないの?」


「別に行きたいとか、思わんぜよ」


…それは、俺が行けないからそう言ってるの?




つい、口から出かけたその言葉を押し込めた。危ない危ない。

俺が入院してからというもの、仁王はずっとお見舞いに来てくれる。

最初は、ただ単にサボりに来てるだけかと思ったけど…そうじゃなかったらしい。


彼はいつもこの病室に来ては、俺が心配なんだって顔をする。

その顔は多分本心から出てる。


仁王のペテンなんて俺にかかればどうってことない。それに、飽き性の仁王が通い続けるなんて、ちょっとした奇跡だ。



「ねぇ、もしこの病気が夏の間に治ったら…」



デートでもしよっか。



そう言ってから少し驚いた彼の唇に、触れるだけのキスを落とした。





自惚れる
(君が俺を好きだって確信がある)



111125



home




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -