恋する動詞111題 | ナノ

16.ときめく(千歳)




彼を見た瞬間、トトロを初めて見た時のような感情が溢れた。


それは後々、トトロとは違った感情になるなんて、思ってもいなかったけど。


でも俺は最初からお前しか見えんとよ。





「はぁ…むぞらしかね……」


「溜め息つきながら変態発言すな。死なすど」


「ばってん、あの可愛さは抑えきれとらん!
俺もうダメ。限界!!」


「んな事言って近づいたらまた鼻血出して引かれて終わりや」


「仕方なか!鼻血は勝手に出てくるっちゃ」


「鼻血に罪はあらへんで。お前の頭に異常アリや」


「ユウジはこれを聞いても何も思わんかったら男じゃなかよ」


「いきなりなんやねん」


「よーーく聞きなっせ?

あの天使は俺の落としたドングリ、拾って「アホか」


「どげんしたとユウジ!ときめき過ぎて照れた?」


「照れとらんわ!

…あんな、それはお前がアイツを好きやからときめいただけで、好きじゃない俺からしたら
"あーハイ、良かったね"ってただの良え話や」


「えーそうなのー」


「なんやその無気力な返事は!
思わず標準語にすんな!ちょっと怖いわ」


「でもまあ…どんなあの子にも俺はときめくってことやね」


「ほんま千歳と話しとると自分のツッコミスキル上がるような気ぃするわ……」


「? そりゃあよかばい」


「もう誰か通訳ううう!!」





ときめく
(全てが俺のツボ)



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