恋する動詞111題 | ナノ

5.望む(忍跡)




「なぁ、俺たち付き合わへん?」


「……眼鏡の度、あってるか?」


「何や、俺が景ちゃん間違える訳ないやろ。ってかこれ伊達眼鏡やし。実は目ぇ良いし」


「やっぱりそれは、俺に言ったのか…」


何だこいつ。出会ったときから頭がおかしいとは思っていたが、とうとう見境もなくなってきたか。

とりあえず目を覚まさせるために肩パンをしてやった。
最近ストレス溜まってたから結構な勢いだった。


「…おい、目ぇ覚めたか?」


「け、景ちゃん…」


「アーン?まだ何かあんのか」


「景ちゃん、俺……」


「礼には及ばねぇよ。早く教室に帰れ、忍た」


さっきまでぽかんとしていた忍足が急に抱き締めてきた。


ちょっと待て。ここ廊下だぞ。


「景ちゃん」


「んだよ、離しやがれ気持ち悪ぃ」


「好きや。肩パン本気でされても、痛くても嬉しいって思うくらい好きや」


「しっかりしろ忍足。それはお前がドMなだけだ。痛め付けられたいなら日吉のとこにいけ」


「嫌や、景ちゃんやないと嫌」


「どこのガキだテメェは」


「好き」


「何回もうるせぇな、分かったから離せ。授業に遅れる」


「…お、おぉ。堪忍な」


「テメェどうしたんだよ。今日おかしいぞ?」



何か今日は、違う。

俺の知らない忍足がいる。



そして、そんな忍足を少し怖いと思ったなんて、そんなの気のせいだと自分に言い聞かせた。


なぁ忍足、俺はいつものバカみたいにヘラヘラしてるお前しか知らねぇんだ。





「忍足の分際で、俺様をこんな気持ちにさせてんじゃねーよ」








望む
(いつもの君でなきゃ不安で仕方ない)




111017



忍足が若干好きな跡部と、それに全く気づいていない跡部溺愛忍足。

忍足が気持ち悪くてごめんなさい…



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