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好きって、言ってくれて嬉しかった。 だって俺も好きだったから。 それでも答えは、ごめんなさい。 こんな俺じゃダメなことくらい、分かっているから。 「それが、あの時の理由なん?」 泣きそうな瞳は、とても綺麗だった。 でも泣かせたのは俺のせいなんだと思ったらやっぱり良い気はしない。 「謙也はしっかりしとる…ばってん、俺はそぎゃん風じゃなかと」 「関係あらへんやん!」 「絶対怒らせて、困らせて、哀しませる。それならいっそ、付き合わん方が謙也の為ばい」 「…、そんな優しさなんか一生いらんかった」 握りしめた拳が痛々しいほど震えている。 あぁ、そうか。 俺がどちらを選択しても謙也を傷つけてしまうんだ。 俺のせいで、俺なんかのせいで、悲しむことなんかこれっぽっちもないのに。 「ごめん」 「謝んな、アホ」 「ごめん」 「せやから、謝んっ…」 もう抑えきれなかった涙をポロポロ溢しながら俺を怒鳴る彼を抱き締める。 壊れたようにごめんとしか言えない俺は、一体何がしたいんだろう。自分でもよくわからないけど、不安なのかもしれない。全部が。 「こぎゃん俺が、謙也んこつ好いとって…ごめん」 潰れそうになる程強く抱き締めてしまえば、もう離したくなくなった。 きっと、これだ。 俺はこれを恐れてたんだ。 「…ずっと、俺のことこうして離さんと、千歳の傍において」 見透かされている。 どうやら謙也には何にも誤魔化せないらしい。 「好きやから、わかるんやで?」 「…じゃあ俺も、謙也が考えとることも分かるくらい好きになってもよかと?」 「当たり前やん!」 ニカッと笑った謙也を見て、心がスッと軽くなった。 じっと見つめる俺を不思議そうに首を傾げた彼が可愛くて、優しくキスをした。 受け入れる (臆病な俺すら、君は) 121222 |