その恋、諦めます。



「出動です。行けますか?」

「……行く」




だって私は




「ヒーローだもの」

















「あっ…」

「名無し!!」


気づいたときには、瓦礫の間に足が挟まり動けなくなっていた。
上を見上げればスローモーションで残りの瓦礫が落ちてくる。
あぁ、ここで死ぬのか。
それも私の運命。
そう思い、静かに目を閉じた。




「……?」




いつまでたってもやってこない痛み。
そっと目を開く。
自分の周りに広がる黒い影。


「なんて無茶をするんですか!!」


そこにはバーナビーが私に覆いかぶさるようにしていた。


「…で、でも、子供が…!」

「……わかっています。怒鳴ってすみません。あなたは子供を助けたかっただけですよね」


バーナビーの下には私が。
私の後ろには小さな子どもが。


「でも僕にとってあなたの命が何より大切なんです」

「…っ!」

「それにもっと周りを信頼してください。あなたと同じように助けい気持ちは一緒なんですから」

「……ごめん、なさい…」




子どもは無傷で母親の元へ連れて行った。
目に涙をためた母親は子どもの頬を叩いた。
私は呆然としてしまった。
それはバーナビーも、頬を叩かれた子どもも一緒だ。
そばを離れちゃだめってあれほど言ったじゃない!
だが次の瞬間、きつく抱きしめて涙を流した。
あぁ、母親はこんなに強いのか。
違う。
守らなければならない存在が居るから、こんなに強くなれるのか。




「名無しー!」

「大丈夫なの!?怪我は!?」


ファイヤーエンブレムやブルーローズ、みんなが駆け寄ってくる。


「心配ありません。傷一つありませんよ」

「よかったー!」

「あんな無茶するなんて!」


みんな、心配してくれたんだ。
ありがとう。


「みんな、ごめんなさい。もうこんなことしないから」




もう、しないから。





END

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