泣いている君に、僕は寄り添うことしか出来なくて
「あら?名無し、どうしたの?」
名無しさんを抱えたままジャスティスタワーの内部を歩いていると、ファイヤーエンブレムことネイサン・シーモアと鉢合わせた。
「寝てるだけです」
名無しの顔を覗き込んで、頬を人差し指で突いている。
それでもまったく起きる気配がしない。
「まったく不憫な子よね。あんな男に惚れちゃって。こんなに苦しむまで一途でねぇ。そして、あんたも」
「すべてお見通しですか」
「見てればわかるわよぅ!私を見くびらないで!というか、他の連中が鈍感なだけなんだけど」
「ふっ、その通りですね」
「頼んだわよ、私の可愛い妹なんだから」
本当の妹ではない。
しかし、ヒーローの皆に可愛がられている。
「かしこまりました」
ネイサンは返事を聞くと、手をひらひらとさせて去って行った。
「僕は、虎徹さんよりあなたを幸せにする自信があるんだ」
END
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