君が笑うなら何でもしてあげる
君にあげる6
***
「だから、俺は別に何とも思ってないし」
「貴方はそうかもしれないけど!」
いつもの喧嘩。アカギに寄り付く女の影に嫉妬するなまえは本人にそんなつもりが無いという事なんて百も承知だ。
「むこうは絶対好きに決まってる」
「何でそんな事わかるんだよ」
「…だって、それは、あの…」
言い淀むなまえはその先を答えずにいた。言えばアカギを喜ばせるだけだから…
「言ってみな。なまえの根拠は」
ククク、と笑って背を向ける彼女を後ろから優しく抱き締めたら耳元で囁くように問い質す。
「なあ。早く、言えって」
「だから!格好良過ぎる、から」
「誰が」
「しげるが」
耳まで真っ赤に染めて恥ずかしそうに答えるなまえが可愛くて可愛くて、他の女なんか微塵も興味無いというのに。
「俺はなまえだけなんだぜ」
「…本当に?」
「愛してるから」
振り返った彼女に優しく口付けを落とすと、何も言わずにこくりと頷いて嬉しそうに微笑む。
「やっと笑った」
普段から表情の豊かななまえが好きだ。些細な事で泣いたり笑ったり怒ったり。けれどやっぱり彼女には笑っていて欲しくて。だから、くるくると愛らしいその笑顔を守る為なら、俺は。
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