淫らの真似事



しん、と静まり返った室内。腰掛けるベッドのスプリングがきしりと軋む。隣に居るのはいつもの可愛らしい少年では無く、目付きを更に鋭くさせた"男"だった。

「あの、さ、本当にするの?」
「なまえさんがいいって言ったんだろ」
「…そうだけど、やっぱり何か罪悪感が」
「俺はしたい」
「っ、素直過ぎるでしょ」

なまえの身体をギュッと抱き締めたら薄着の分だけいつもより密着感があって体温が直に伝わってくる。彼女の名前を小さく呼ぶと「なあに?」と可愛く返事をするからどうしていいかわからなくなった。

「なまえさん、好きだ」
「しげるくん」
「何か言ってよ」
「あ、うん…可愛いなぁって」
「あのさ、たまには"格好いいね"とか無いの」
「ふふふ。いつも思ってるよ」

にこりと微笑むなまえがしげるの白髪を優しく指で梳いて撫でると、ただそれだけで身体の芯がじわりと疼いて熱くなった。まだ深い場所には触れてもいないのに

「ねえなまえさん。ここ、触ってよ」
「いいの?」
「こんなになってる…から」

彼女の首筋に顔をうずめると、鼻先を擦って強請るような仕草を見せる。その姿がまた可愛くてなまえはしげるの頭を撫でていた手のひらを緩やかに下ろして肩を滑り臍の下へと這わせると、はち切れそうに張った布地の上からやんわりと撫でた。

「…すごい、固くなってるね」

大人のとはまた違う、未成熟な身体に釣り合った少年のそれはなまえもまだ知らない彼の…

「…っ、」

柔らかな手のひらで包み込むと上下に擦り上げてしげるの反応を確かめる。このままでもいいけれど、どうせなら

「見てもいい?」
「…うん」

下着を外すと腹に向かって雄々しく反り勃つそれに直に触れて感触を確かめる。

「あ、なまえさん…っ」
「しげるくんのここ、すごい熱くて固いよ。ねえ、どうして欲しいか言ってみて?」
「…もっと、して…欲しい」
「うん。良く出来ました」

にこりと笑って徐に近づいたなまえの唇が何の躊躇いも無く熱く猛った熱を銜え込んで、ずぶりと口内に収まる。柔らかく温かな唇で上下に扱きながら時折空いた手で陰嚢をやわやわと撫でたら、彼の口から漏れる切ない吐息が部屋に響いた。

「なまえさん、っ!やめ…ッ」
「ん…ふ、イキそ?」

こくこくと子供のように頷く少年の余裕が無い表情になまえは胸がざわついた。普段、冷静沈着で飄々としている彼もこんな顔をするんだ、と。

「もう、出…るッ」
「ふふ、我慢出来ない?気持ちいいの?じゃあ、しげるくんのイクとこ見ててあげるね。全部出しちゃっていいよ、ほら、イッちゃいなよ」
「…く、っ」

びゅくびゅくと放たれた熱い体液がシーツに飛び散り染みを作る。なまえの指先にかかった精液がねろり、腕を伝って零れ落ちると厭らしく微笑んだ彼女はぷっくりと膨れた桜色の唇を寄せて指に残るそれを赤い舌で舐め取った。

「ふふ、いっぱい出たね」
「…これでおしまい?」
「ん…やっぱり、ちょっと抵抗あるというか」
「ここまでしといて今更何言ってんの」
「でも、ひゃあっ!」

そのまま反転されて、ベッドにうつ伏せになる。シーツに顔をうずめると今まで握っていた主導権は彼の物になり、なまえはただ言われるまま従うだけだ。

「俺ばっかりじゃ悪いよな。なまえさんも気持ち良くならなきゃ」

四つん這いにさせられて下着越しにそっと撫でられると、やんわりと触れられただけでビクリと身体が大きく跳ねた。自分でも驚く程の甘ったるい声に恥ずかしくなって、ぐっと唇を噛みしめる。

「ん、っ、ん…」
「我慢しないで声出して」
「やぁっ、あ、あんッ」
「もっと可愛い声が聞きたい」

さっきまでとは真逆の立場に立たされたなまえは彼の言いなりで

「なまえさん、気持ちいいんでしょ。もっと欲しいの?」
「ん、っ…欲しい…」
「じゃあ、このまま突っ込んでいいよね」
「っ!や、やだ、それはダメっ」
「俺が素直に聞く訳無いだろ」

ぐっしょりと濡れた下着を脱がせると逃げようとする華奢な細腰を引寄せて円やかな尻を押さえ込む。なまえの弱々しい抵抗は意味を成さず、しげるの加虐心を煽るだけだった。

「あ、っ!あ、っあぁ」

割れ目に沿わせると小さな窪みに当て擦りながらそのまま一気に押し進める。絡みつく肉壁を裂いて根元まで腰を沈めたらわざと動かさずにうねる胎内の感触を味わう。

「すげぇ気持ちいい」

ギリギリまで引き抜いて深く捩じ込む抽送を何度も繰り返すと、すぐに達してしまいそうな程の快感が脳髄を駆け上がる。

「なまえさんッ、もう我慢出来ない」
「ん、あっ、私もイッちゃう」
「中に出す…から」
「やだっ!やめて、待って、ダメ」

逃げようとするなまえの身体を押さえ込んで、これでもかとばかりに最奥を突き上げたら小刻みに収縮を繰り返すそこへと白濁の欲を全部吐き出す。それでも尚、冷めやらぬ熱をもて余していた少年は大人びた笑みを浮かべながら愛しい彼女に甘い口づけを落とすのだった。




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