特別だと錯覚するような
所詮、身体だけの関係なのに
彼の優しさに触れる度に私は
「なまえ」
酷く穏やかで、それでいて熱を帯びた彼の声色が私の心を掻き乱す。
「アカギさん、私…」
もう終わりにしようと思うの。これ以上こんな関係を続けていたら苦しくなるだけだから。
「黙って目閉じなよ」
言われた通りに従う私を優しく抱き締める。とろけるような口づけと慈しむような愛撫にまた何も言えずに身体を重ねてしまう。欲の捌け口ならもっと乱雑に扱って欲しい。そうすればきっと楽になれるのに。
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