今いる共有スペースから私に素敵スマイルで説明になってない説明をした渡邉さんの背中を見送って向き直ったのはいいものの…、無茶ぶりにも程がある気がすると溜め息をこっそりとつく。まぁ上司から指示されたことなので仕方あるまいと腹を括り、一番近くにあった椅子に腰掛ける。すると瞬時に姿勢を正した新入社員3人組に苦笑いをこぼす。そんなに構えられるキャラじゃないんだけど。


「取り敢えず、先ほど渡邉リーダーからご紹介預かりました樋野友里と申します。今年で入社3年目、渡邉班のリーダー補佐」

「え、渡邉さんって部長代理では…?」

「多忙な部長直々のご指名により、優秀な人材なので普段は部長代理を務めてるけど、部長が来ればあの人はリーダーと言う本来のポジションに戻る…んだけどって、さっきこれに関しても説明してなかったかしら」


 くるりとホワイトボードを見れば、部署の構成のところで部長、各班のリーダーとちゃんと書かれている。…ちょっとちょっと、白石くんやい、先輩の話はちゃんと聞いておきましょう。鳳くんなんか溜め息ついてるよ。


「じゃあ切原くんから自己紹介」

「はい!切原赤也、新卒です。特技は3分でカップラーメンが食べれること、趣味は格ゲー全般!此処へは高校の先輩から話を聞いてたので、入社できてうれしいッス!」

「……切原くん、体育会系でしょ、部活」

「ウッス!」

「…まぁいいや、次白石くんね」

「はい、白石蔵ノ介と言います。特技は毒草が見分けられること、趣味は健康グッズ集めです」

「…ジジババみたいな趣味してるのね、というか特技には突っ込まないわよ」

「ええ!?そこは突っ込んで来るところですやん!」

「はい、じゃあ鳳くん」

「…鳳長太郎と申します。特技はピアノとヴァィオリン。此処へは高校の時に短期でしたがバイトとして雇っていただき、また大学の時に参加したインターンで魅力を感じたので…」


鳳くんがものすごくいい子に見える罠。それから多分だけど、切原くんと白石くんは多分、あほの子だ。頼りになる同期が異動して早々にこの強烈な新入社員かぁ…何でアイツは異動するかね?今度会ったら何か奢らせよう。
樋野さん?とおそるおそる呼び掛けてくる鳳くんにいや大丈夫よといつの間にか敬語の剥がれた口調で答える。


「研修って、何やるんです?」

「ああ、私があなたたちの面倒を見るのは全体研修が終わったあと。各部署に散ったときだと思うよ」

「は?」

「新人研修は本社とこの近隣の支社の新人を集めて、3階の大会議室だったかな、そこでやるのよ。だから全体の新人研修担当者がいるから、まぁ私のような部署の新人研修担当は前半は殆ど出番がないわけ。前半で関わるとしたら…そうね、あなたたちからの報告を受ける時と、全体担当の人から召喚された時…位かなぁ」

「案外関わらないんスね、樋野サン」

「前半はね。後半からはビシバシっと行くと思うよ。設けられた期間の中で、あなたたちをどの班に配属すべきか見極めて、各班のリーダーと部長に報告しなきゃいけない義務があるもの」


まぁでもその前に、この子達が辞めずにいられるかどうかが、最低条件なんだけどねぇ…。取り敢えず、まともだと思えるのは鳳くんだけか…、でも部長と渡邉さんたちが判断したんだから結構優秀な人材だとは思うんだけどねぇ…。


「(…取り敢えず、任されたからにはやり遂げなきゃね)」




2014/08/04 みっこん


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