準備期間
08 明Side


今日は男子テニス部も、演劇部も、陸上部も無い。
日曜日ということで学校も無い為、今日は朝からぐーたらな生活を送っていた。
だけど午後からは合宿に向けて必要なものを買いたい為、四葉と一緒に出掛けている。
大阪にいる間は四葉との2人暮らしだから、時間を合わせやすいのが楽だ。四葉とずっと一緒に居れるし。

トラベルセットで売っているシャンプーとコンディショナー、洗顔クリーム、歯ブラシセット。
後はナプキンや、他に必要だと思ったものを買った。



「他に欲しいのある?」
「んー、四葉の愛?」
「いつもあげてるでしょ」



冗談で言ったつもりが、冗談で返されてしまった。思わず笑ってしまうと、四葉も笑う。
戦国時代で会った時は、まさかこんなに長い付き合いになるとは思っていなかった。
忍術学園の1年生の時に同室になって以来、私達はずっと一緒。これからも、それは変わらないんだろう。
不思議だよねえ。こんなに一緒に居るのに、まだまだ一緒に居たいと思えるなんて。

ジッと四葉を見ていると、視線に気づいたのか「ん?」と聞きながら私に顔を向ける。
特に意味は無かった為、えへ、と笑うと「なんなの」と笑われてしまった。その笑顔好き。



「きゃあっ! 何すんねん!」



突然聞こえてきた女性の悲鳴。
驚いて四葉と一緒に声のしたほうを見ると、そこには赤ちゃんを抱えた女性の姿があった。
この場にいる全員が女性に注目しているが、これだけでは状況が分からない為、女性の視線の先を見る。
可愛らしい花柄のトートバッグを持ち、逃げるように走り去って行く男。……窃盗だ。
女性は男を追いかけるように走り出すが、赤ちゃんを抱えているからなのか、走り方がぎこちない。あれでは追いつけないだろう。

四葉に視線を向けると、四葉も私に視線を向ける。これはもう、やるしかないでしょ。
矢羽根を使わなくても、私達の意見は一致している。
四葉は女性に向かって走り出し、私は男を追いかけるべく、全速力で走り出した。



「私達が追いかけます! 貴女はここで待っていてください!」



後ろから四葉の声が聞こえる。
あの男、絶対追いついて捕まえてやる! 私達から逃げられると思うなよ!

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