2015/12月
12月31日
「喜助さん、」
「お誕生日おめでとう!!」
私の掛け声で、クラッカーを鳴らす。
毎年やってることなんだけど、やっぱり照れ臭いみたい。
彼は困ったような、でも嬉しそうな顔で笑っている。
怒られてしまうけれど、私は、そんな喜助さんを可愛い、なんて思ってしまう。
「ありがと、皆」
「で、店長いくつになったんだよ」
「さて、いくつデショ?当ててごらん」
「去年もそう言って答えてくれなかっただろ!」
ジン太くんが口を尖らせて、卓袱台を叩くから、お皿ががたがたと動く。それを見た鉄裁さんに「ジン太殿」と咎められて「でもよー!」と今度は鉄裁さんに食って掛かっている。
「・・・覚えてない、だけ、なんじゃ・・・」
私の隣で小さく呟いた雨ちゃんに、喜助さんがにこりと笑う。
「ウールル、なんか言いました?」
「・・・なんでもない、です・・・」
子どもに言われてしまうだなんて。
それを上手く誤魔化しきれていないところがやっぱり可愛いらしくて、くすりと笑うと、背筋をつうと撫でられた。
「・・・んっ、もう!」
「おや、どうしました?」
白々しい顔で酒を煽る喜助さんを睨んでも効果はないことを知っている。
だって、こんなところも含めて、彼を愛してしまっているのだから。
惚れた方の負け、だなんて良く言ったものだわ。
ああ、でも、それはお互い様なのかしら。
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