2015/12月
12月13日
結局二日続けて夜一さんが食べてくれたお陰で冷蔵庫は見事なまでに空っぽ。
こんなに何もないといっそ清々しい。
「夜一サンが来ると、ウチの冷蔵庫が毎回見事に空になりますね」
「ええ。でも作り甲斐があって楽しいわ」
「そりゃあアレだけ食べてくれればねぇ」
台所で大量の洗い物を手伝ってくれていた喜助さんが苦笑して、私の後ろからそれを覗き込んでいる。
居間の方からまた賑やかな声が響いてくる。
夜一さんは子ども達とトランプの大富豪をしている。
強運の持ち主なのか、何回やっても大富豪にしかならない彼女をどうやって打ち負かすかに必死に頭を悩ませているジン太くんを見ていると面白くて笑ってしまう。
お陰で私はメンバーから外されてしまったわけだけど。
「もうだいぶ片付いたし、喜助さんも戻ってていいですよ?」
「そう?じゃあ先に戻るね。でもその前に」
「きゃ、」
後の洗い物を引き継ごうとゴム手袋を取ろうとしたところで、ぐっと引き寄せられた。
何事かと思って振り返ろうとしたら「ちょっと充電させて」と喜助さんが甘えた声で首筋に擦りよってきて。
私は腕を伸ばして彼の薄色の髪をそっと撫でてあげた。
昨日からずっと食事の準備に掛かりっきりだったから、寂しかったみたい。
ふふ、可愛い人。
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