2015/12月
12月9日

不思議な夢を見た。
白く霞む世界の向こうで、誰かが手を振って私を呼んでいる。
誰だろう。
よく見えない。
ふっとその影が濃い霧に隠れてしまって、思わず手を伸ばす。

「・・・待って!」

「風華、どうしたの?」

「あ、・・・喜助さん、」

私の手が空を掴む。
ーー夢、か。

「嫌な夢でも見た?」

「いいえ、嫌な夢では・・・」

どう説明していいか分からないのだけれど、悪い夢ではなかったように思う。

「ごめんなさい、もう平気だから、」

「そんな無理しないで、もっと甘えてくださいよ」

喜助さんは困ったように笑って、私の背中に腕を回して、ぽんぽんと背中を叩いてくれる。

「もう、そんなんじゃないのに」

「いいの、ボクがこうしたいだけだから」



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