2015/12月
12月03日

ばたばたと雨樋を叩く音だけが響いている。
今朝からずっと雨。まったく止みそうもない。
庭掃除もしようがないし、店番をしていても誰も来ない。
かといって店先で編むのもどうかと思う。
彼が店先に顔を出さないとも限らないのだし。

「今日はもう店仕舞いにしましょうか」

「・・・そう、ですね」

今考えていた人の声がして驚いた。
この人、本当に、心臓に悪いわ。
振り返ったまま硬直してしまった私を、喜助さんは怪訝そうに見下ろしてくる。

「どうかしました?」

「いいえ、ちょっとぼうっとしていて、驚いてしまって」

「まァこんな天気じゃアナタじゃなくても、ぼうっとしちゃうデショ」

アタシも今日はもう仕事するのは辞めましたしね、と喜助さんは欠伸を噛み殺しながら、シャッターに手を掛けた。



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