四十八手
*浮き橋*
膝に座らせて中を堪能していたその彼女の体を、横抱きにするようにして、横に寝かせる。
「んっ、まって、喜助さん、」
「手はそっちについて、」
「こう?」
「そう、そのまま、ちゃんと支えてて」
体勢を変えられた風華が狼狽えるが、横向きのまま敷布に手をつくように指示すると、言われた通りに体を支えている。
彼女の両足を抱え上げて体を揺する。
喜助が前後に動くと、当然横向きに寝ている風華の中からそれが抜け落ちそうになる。
「あっ、や、」
抜け落ちないようにする為か、風華がぎゅうぎゅうと締め付けてくる。それに合わせて円を描くように腰を穿つ。
その度にゆさゆさと彼女の体が揺すられる。
「んっ、喜助さん、落ちちゃ、うっ、」
「大丈夫だから、」
前後左右に揺すられて、膝の上に預けている体がずり落ちそうだと風華が抗議してくるが、喜助が両足を抱えているのだからそんな心配もない。
そうは言っても、敷布を必死に掴む風華の小さな拳は白くなっているし、揺する度に蜜が溢れてくる中心も滑りがよくなっているから、すぐに抜けてしまいそうで、確かに不安に思うところもあるかもしれない。
「中に浮いた橋が、アナタなら、支えるボクは、さしずめ支柱ってことかな」
「ぁ、橋が、なに?どういう、こと?」
「ん、こっちの話・・・アナタは、もっと、揺れてればいいよ」
「揺れてって・・・ゃん、あっ、」
安定せずに、歩く度にゆらゆらと揺れる吊り橋。
その中でも支柱が少なく、揺れるどころか風に煽られてしまいそうな程に頼りない浮き橋は通れるものではなくて。
その橋全体が揺れ動きながらも『橋』として存在する為に、その支柱から切り離されぬようにしがみついているようにさえ見える。
そして支柱も支柱として存在する為にその橋が必要なのだ。
互いが互いを必要としている。
そんな浅いようで深い関係性を示しているのかもしれない、というのは、さすがに考えすぎだろうか。
けれど、今、風華なくして自身が存在し得ないように、彼女もまた自身なくしてここに居場所はないのではないだろうか。
「危うい関係、かな」
「・・・んんっ、喜助さん?さっきから、どうしたの?」
「なんでもないよ」
曖昧に笑って誤魔化して、離れていかないように、彼女の腰を強く引き寄せた。
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