四十八手
*雁が首*

彼の体、腰骨の辺りに踞った体勢で風華は懸命に口を動かしていた。
口をすぼめたり、吸い付いてみたりと、色々な責め方があるのだろうが、風華の小さな口に、漸くといった様子で収まっているそれを弄んでやる余裕はない。
気を抜くと、えづいて吐き出してしまいそうなぐらいだった。

「ん、・・・ぅ、ぁ、・・・っ、ぁ、」

「・・・っあ、いいよ、・・・そこ、もっと舐めて・・・?」

口に含むだけで精一杯の彼のモノを、それでも舌を這わせると違うようで、『もっと』と先端の括れーーいわゆるカリの部分をより責めるよう要求される。
雁が首という名称の通り、この亀頭と竿の境を責めるのがいいようだ。
それを口でしごきながら、視線だけを彼の顔に向ければ、体勢の幾らか遠くを観るように喜助が瞳を蕩けさせていて、快感を覚えているのだと分かる。
喉元まで咥えていたそれを一旦離し、亀頭だけを口に含み直す。そうして、鈴口に舌を這わせれば、先走りの汁が滴り、苦味が口の中に広がる。
けっしていい味のものではない。はっきりと言ってしまえば不味いものだ。吐き出してしまいたいぐらいに。
それなのに。
それなのに、喜助のモノだと認識するだけで、飲み下せてしまう。

「・・・っ、ん、・・・んっ」

「風華、無理しないで?」

眼をきつく瞑ったまま、飲み下そうとしている風華の髪に指を滑らせてくる。
風華はまだその小さな口に彼の半身を咥えたまま、ふるふると頭を振る。

そうして、床に付いていた両手を喜助の根本に添えて、上下にすく。先程、根本まで咥えていて、既に涎まみれになっているそれは指ですいても引っ掛かることなく、血管の筋をくっきりと浮き上がらせている。その筋をなぞるように指先を這わせる。

「・・・っあ、ん、・・・風華、」

「っふぁ、・・・ん、っ、は、ぁ、・・・」

時折喜助が漏らす吐息にぞくりとする。
何時ものように自身を煽る為のものではなく、彼自身が快感に喘いでいる、その僅かに高く上がる声を聴くと、触れてもいないのに中心から蜜が溢れてしまう。
一体いつから、こんなにも、はしたない女に成り下がってしまったのだろうか。
だが考えるだけ無駄なことだろう。
時間や経験の問題ではなく、喜助という存在に淫らに溺れてしまっているのだから。

「・・・腰、擦り付けてごらん?アナタも気持ちよくなれるから」

「ん、っふ、・・・ぁ、ん、んん!・・・っぁ!」

仰向けのまま静観していた喜助が、いつの間にか、その掌を風華の尻に宛がい、ゆるゆると撫でている。
促されるまま、腰を下ろし、濡れている花弁を彼の脚に擦り付ければ、腰が抜けてしまいそうな快感に襲われる。

「・・・ん、んんっ、ァ、んッ!」

「そう、っ、気持ちいいでしょ?・・・もっと、楽しもう・・・ね?」

悦楽に浸った表情を浮かべながらも、彼はまだまだ吐き出してくれそうもない。
夜が明けるまでは、相応の時間がかかりそうだった。



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