四十八手
*宝船*

『今日は風華が上になって?』

そう促して生まれたままの姿にした彼女が今自身の腹の上に股がっている。
既に痛い程に勃ちあがった喜助の半身にほっそりとした白い手を添えて、ゆっくりと腰を下ろしてくる。

「ん、・・・っぁ、は、・・・」

くちゃり、と湿った音がして、ずぷずぷと呑み込まれてゆくそれを見ているだけでも十分にそそられる。
だが、今夜、喜助が試したいのはこれではない。
ようやく喜助の腹に座るようにして腰を下ろした風華の右足に手を滑らせる。

「・・・喜助さん?」

「いいから、」

片足を軽くあげさせて、自身の膝を立てる。そうして繋がったまま、彼女の体ごと90度横に向かせる。
丁度、喜助の立てた足を挟み込むような体勢だ。

「ん、っ、もう、・・・今度は何をするんですか」

「今日はね、『宝船』をやってみようと思って」

「『宝船』?」

首を此方に捻り、僅かに口を尖らせる彼女に、一つ頷いてみせてから、立てた足を帆船のマストのように上に伸ばす。

「きゃ、っ、・・・ん、や、ァ・・・っ、だめっ、」

突然伸ばされた足に驚きつつも、風華はぎゅっと彼の足にしがみつく。それに合わせて、彼女の体にその足を押し付ける。肉芽が擦れて、風華が啼き声をあげる。

「・・・んっ、・・・やだ、ァ、ん、・・・だ、め・・・っ!」

拒否する言葉とは裏腹に、無意識にだろう、彼女はより愛液を滴らせ乳房を喜助の足に押し付けてくる。
汗を含んだ肌はしっとりと湿り気を帯びていて、全体的に華奢ではあるものの、要所要所は肉付きのよい彼女の胸はもっちりと吸い付くような柔らかさで、触れたその肉の感触が気持ちいい。
風華の体すべてで愛撫されているような心地よさ。

「・・・はぁ、いいよ、風華」 

「ん、ぁあ、・・・っ、やだッ、・・・ぁん、」

下から突き上げる動きに翻弄されて、風華は焦点を怪しくさせている。喜助の足にぎゅうと、しがみついて、何度となく浅く呼吸を繰り返す様は、快楽の海に投げ出され溺れぬように必死に流木にしがみつく漂流者のよう。

「ほら、お宝、目指して・・・頑張って、ください、よっ!」

「や、あ、んん!・・・っ、はぁんっ・・・、ぁあっ!」

目を白黒させて喘ぐ風華の体を好きに揺さぶって、快楽の荒波にもまれてゆく彼女の蕩けた横顔を眺める。

風華が宝船を乗りこなすのが先か、宝船に取り込まれるのが先か。
夜はまだ始まったばかりだ。



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