お料理

男に生まれれば良かったのにと言われても今更仕方がない。

あの方に逢ってからそう思うようになった。
そのせいか、
料理を始めました。

正直最初はうまくできませんでした。
味が良くない。
おいしくない。

あたしにも、出来ないことがあるのね。
実感した。
「順調?」
「え?」

そこにいらしたのはあの方のお母様
春華様
味見をしてもらうも、
眉をひそめられる。

「何がいけないのでしょう。」
「愛情ね。」
「愛情?」
「料理を上手になりたいなら、
誰のために作るかを考えるのが手っ取り早いわ。」
「誰のために……。」
脳裏にはあの人が思い浮かぶ。
「ちなみに。息子たちは肉まんが好きよ。特に師はね。」
「しゅ、春華様」
女とは想いを見抜く鋭さがある。
この人もまた。
まぁ、司馬懿殿の奥方ですし。

「あの人は気づいてないけどね。
まぁ、想うことは良いことだと思うわ。頑張りなさい。」

そういうと、春華様は厨房から去って行きました。

数日後、夕餉に肉まんを出してみたら、
好評を頂けた。

あの方がおいしそうに何個も食べてくださる。

嬉しい。



それからも私は料理を続けました。

あの方の笑顔をもっとみたいから。


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