友人ポジションでオリキャラ+モブ達出てきます。




頭がポーッとする
気づけば指先がピアスを撫でていて、もうこの行為が癖になってしまったよう

なんだか隙あらばジャズくんの事ばっかり考えちゃって

好きでたまらない

きっとジャズくんはあと一回、セックスしてくれるだろうけど
それで終わりにはしたくない。ピアスまでくれたんだし、きっと私の事をそれなりに特別に思ってるはずだよね?
思わずニヤニヤと口元があがりそうになる。

ああでも

"好き"って言わせてくれなかったなと

ポトリと

その事実が鉛のように重たく


想いがそのまま唇からこぼれてしまいそうだった
堪らなくて
溢れ出て

好きだと

ジャズくんが好きだと


彼の唇で塞がれたその想いは行場をなくして
声にならずに熱と一緒に甘く溶けてしまった


きっとジャズくんもわかっていた

あんな

耐えるように困った顔ははじめてみた


好きって

言われたくなかったのかな。わたしに

ボランティアで抱いてるだけなのに
勘違いされたら困るって思っちゃったかな?
それとも好きって言われるまでを楽しむタイプで、好きって言われたら冷めちゃうとか?

どんどん自分を苦しめる言葉ばかり浮かんで

面倒だと思われたのかな


こんな、こんなことを考えている自分は本当に面倒な存在だ。

3回目の前に好きって伝えてしまおうか
そういう、エッチな雰囲気の時じゃなくて。
でも、それで付き合ってもらえなかったら?
ジャズくんを私のものにしたいのに
そこで終わってしまう

じゃあ身体だけの関係だけでいいのかと自問自答するけど


ちがう


私は


ジャズくんに好きになってもらいたい

私のことが好きだと思ってほしい


それじゃあ……


『どうしたらいいんだよー』


溜息が出て頭を抱える。
彼をメロメロにするつもりだったのに、わかんなくなってきた。
どんどん沼みたいに嵌って、身動きができない。
ゆるゆるとピアスを撫でて、でもこれをくれたんだもん。と必死で唯一の希望に縋りつく。

頭の中がジャズくんばっかりで

本当にどうしようもない



だめだめ!成績だけは落とせないんだから。と必死に自分を律して目の前の問題に取り掛かる。
家系魔術をまだ上手く扱えないから、その他をせめて出来るように。と座学も実技も出来る限り努力しているつもりだ。まぁあくまでつもりなんだけど……

最近ジャズくんのこととか、その、エッチな事を考えると"香り"が出る感覚がだんだんわかってくるようにはなってきた。これを制御できるように地道に訓練して。
1回感覚をつかむと、わりとあとはイメージさえできれば制御出来るって聞いたし……あとは他の"香り"も出せるように訓練するのみだ。

頑張ろう

いつでも目立っていて成長著しい問題児クラスに負けたくない

ジャズくんに

置いて行かれたくない




『つかれた……』

フルカス先生に借りた本を、なるべく早く返せる様にと必死に読み込んでいたら頭が疲れてしまった。
机に向かっていた視線をあげて、ボーッとしていると
窓の外から男女の楽しそうな笑い声が聞こえてきて

そういえば、最近なんだかうちのクラス仲いい男女多いよね……あれ?

「ナマエまた勉強してんの?」

『あ。うん』

ボーッとしていたとこに同じクラスの友達に声をかけられた。
休憩しよー、ほい!とお菓子を手渡されて有難く一緒に頂戴することにした。

「最近浮かれ過ぎだよねぇ」

ギクリとして、やっぱり浮かれてるのってバレてるんだ。とまたピアスを撫でていた手を慌てて引っ込める。

「帰ってからやれっつーの、てかこの状況で勉強してるアンタもアンタだけどね。ハート強すぎてうける」

『へ?』

どうやら私のことではないらしい。
彼女の目線を追うと、窓の外の男女

見覚えのある彼らは同じクラスで

窓の外の花壇にあるベンチで

キスをしていた

それも深いやつ
お互いの身体を弄り合う手


うわぁ、と思わず頭を抱える。

シャッと強めにカーテンをしめて視界から矯正的に排除する。全然気づかなかった。


「もー、見られちゃったじゃんッ」「見せてたんだし」なんて窓の外から甘ったるい声で繰り広げられる会話にげっそりする。

でもまぁ、自分も学校でやる事やってるのに。とジャズくんとの行為を思い出して一瞬身体が熱くなるけど、瞬時にそれを諌める。
ジャズくんと付き合えたら、あんなふうに学校でも堂々とお話して一緒にいれるんだろうか。いや、でもジャズくんは目立つし、私なんか一緒にいてもいいんだろうか……あんなにカッコいい人の、隣に立てる自信がない。

ちがうちがう、だから頑張って勉強して

ランクも上げて

ジャズくんの隣に立てるようにならないと


そうしたら

もっと自信を持って

ジャズくんに好きって



言えるのかな



でも、あの時ジャズくんは




なんだか胸がぐちゃぐちゃだ




「……ナマエさぁ」

『え、なに?』

「あの問題児クラスの子となんかあった?」

『へ……』


仲の良い子には、私がジャズくんにメロメロなのは周知の事実で
でもだからって、エッチしちゃった!なんて言えるはずもなく黙っていた。連絡先交換した!とかは浮かれて喋ったけど。あ、やっぱり浮かれてるのそりゃバレるよね。え…、でもそれくらいしか話してないのに。

『えっと、あ……』

「いや、別にナマエが幸せならなんでもいいんだけどさー」

『あ、うん。ありがとう』

やっぱり浮かれてるのバレてたんだ!とちょっと焦って、てかさっきの言葉はやっぱり私に向けてだった?

「最近クラス皆うわついてんじゃん?」

『え?』

話が変わった?とついていくのに必死で

「気づいてない?」

『あ……最近みんな積極的だなぁとは』

「……それナマエの影響だから」

『えっ』

どういう、わたし??

「香り、ダダ漏れだから。あんた」

ヒュッと息を吸う音がした。



私がジャズくんの事で頭がいっぱいでぽやぽやしている中
授業中でもお構いなしなダダ漏れの香りに当てられて、我がクラスは只今絶賛発情期中らしい。なんということだ
「わたしは大丈夫だけどね。淫魔なめんな」とウインク付きで友達には言われてしまった。面白いから黙ってた。まぁみんなもナマエの香りって気づいてないから大丈夫!と笑いながら言う彼女になんて淫魔っぽいんだ!とちょっと救われたけど
駄目なものは駄目だ。
制御出来てないどころか、被害が出ているなんて
「それより、例の彼とエッチしたの?」なんてニヤニヤと根掘り葉掘り聞いてきてもう私の情緒は崩壊しそうだった。

やばいやばい、とフラフラになりながらアム様に電話をして
簡単に掻い摘んで説明すると
「え?なにそれ!なんでそんな面白いことになってるの!?」とキャッキャ沸き立つ電話の向こうにいるアム様を若干スルーして、私はアム様の助言通りすぐさま魔具店に駆け込んだ。
魔術の制御補助具をゲットして、一安心してお店から出る。身につけるものだから、どうせなら可愛いやつがいいなぁ。なんて。赤色ないかな?なんて思いながらしっかり楽しんで選んでしまった。
本当に私はどうしようもない

お会計をしてすぐに付けるのもなんだか魔術を覚えたての子供みたいで、とりあえずとバッグに入れて店を出る。
ジャズくんの事考えてたら、エッチな事も思い出しちゃってすぐに体が熱くなる。
だから駄目だって。と考えないようにしたいのに、そう思えば思うほど

彼が頭から消えてくれない。


ちゃんと制御できるまで、しばらくジャズくんとは会わないほうがいいだろう。
会っちゃったら、もっと頭の中ジャズくんばっかりになっちゃう
連絡も控えたほうがいいかな……
でも我慢してたら余計に会いたくなっちゃうかも。ジャズくんのあの色気たっぷりの笑顔を思い出してほっぺたが熱くなる。

しっかりしなきゃ!と思っていたから、ボーッとしていたつもりはなかったのに

『キャッ!』

ドンッと強めに通行人と肩がぶつかって身体がよろける。大きい手にグイッと手首を引っ張られて身体が今度は反対にふらつく。

「大丈夫?おじょーちゃん」

『ぁっ、はい』

口から出そうになった謝罪がとまる。
目の前の悪魔は大柄の男で、二人もいる。進路を阻む様に立ちはだかる二人の空気感にゾワリと背筋が震えた。
彼の手は未だに私の手首を掴んでいて、じとりとした感触に指先が冷たくなっていく。

向けられた視線は
足先から太腿、腰、胸を舐める様に上がってバチリとあってしまった。
欲と熱が混じった瞳に一気に身体の芯まで冷たくなる。咄嗟に目線を外す。どうしたらいいだろうかと思考を巡らせる。またジャズ君のことばっかり考えてたからダダ漏れだったんだろうか。じゃあ自業自得ってこと?魔具をすぐつけとけばよかったのに。なんて、そんな事を悠長に思っている暇はない。

「今から一緒に遊ぼうよ」

『えっと……』

手首を掴まれた時の対処法を思い出す。単純な力比べでは勝てない。
手をパーにして、踏み込んで、えっと振りほどいて……一瞬で逃げる。よし、やるぞ、よしッ!



「手離してくんない?この娘俺のなんだけど」

するりと突然蛇の様に現れた手が腰にまわされたと思ったら
すっぽりと大きな影に後ろから抱き締められて

え?

なんの気配も感じなかったそれに私だけでなく目の前の男二人も固まった。


「大丈夫?一人にしてごめんね」


掴まれていたはずの手首を愛しい物に触れるように優しく撫でられて
耳元にキスするように寄せられた顔。


え?あ、え?手掴まれてたよね?私。いつのまに
半ば頭がパニックだ

「あっ、と……チッ」

行く手を塞いでいた男たちも目を白黒させながらもこの場を去っていった。

た、助けてくれたんだよね?と状況をせいりして、てかキョリ近くない?と頭がなかなか落ち着かない。でもなぜか嫌悪感はなくて、それがなんだか変な気分で。

『あ、の…ありがとうございました』

「ん?どーも」


スッと近かった身体が離れて、ようやく恩人の姿を瞳に映すことができた。

赤い瞳と
それを縁取る愛らしい垂れ目に

不覚にもドキリと心臓がざわめいて

だめだ落ち着けと念じる


「キミ、坊主の彼女でしょ」

『へ』

「おれ、おにーちゃん。あいつの」


え……お兄ちゃん?

もしかして


もしかしなくとも



ジャズくんの

お兄さま?




 / 







×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -