No pain No gain.
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14



結局その後、2ラウンド付き合わされた。
正常位で一回、それから騎乗位もやらされて、俺はもうクタクタだった。
意識を飛ばしたりすることはなかったが、とにかく眠くて怠くて、バニーの上から降りてベッドの上に伸びてからの記憶がない。

そんなわけで、昨夜はアラームもセットせずに眠りに落ちてしまったわけだが、一人暮らしの長い俺の体内時計は正確なようで、朝が来ると自然と目が覚めた。
朝の眩しさにゆっくり薄目を開くと、目の前にバーナビーの顔があった。

「おはようございます」
「んァ、……おはよ」

バーナビーの表情が、ふわりと柔らかい微笑みへと変わる。
こいつ、こんな顔もできるのか、なんて俺が驚いていると、バニーの顔が近付いてきた。
キスされるのはわかっていたけれど、瞼を閉じてそのまま受け入れた。
だってもう、拒む理由が見当たらない。

「好きですよ」
「うん」

うん、わかってるよ、バニー。

「……うん、じゃなくて」
「はい?」

バニーの眉間にはうっすらと縦皺が入っている。
俺は何か怒らせるようなことをしたんだろうか。

「おじさんはどうなんです?」
「ふぇっ?」
「好きだって、言ってくれないんですか?」
「えぇっ?……いや、それはちょっと」

こーんな朝っぱらから、素面で好きだなんて言えるか、恥ずかしい。
そもそも、エッチはしたけど、俺はバニーのことが好きだなんて一言も言った覚えはない。
虎徹が視線を反らすと、バーナビーは大きな溜息を吐いた。

「まあ、いいです……昨夜のおじさんは可愛かったですし」
「うあァッ?!」

ぐいっと力強く尻の肉を揉まれて、虎徹の口からは情けない悲鳴が漏れる。
割れ目の間へと指先が及んでくると、虎徹は慌ててバーナビーの腕を掴んで制止した。

「コラッ!どこ触ってんだ」
「いえ、怪我させてないか心配で。それに、中に出してしまったので……一応、処理はしたつもりなんですけど」

昨夜の行為を思い出させる生々しい会話に、みるみるうちに虎徹の顔が赤く染まる。

「おまっ……、しょ、処理って」
「指でできるだけ掻き出して、身体も濡れタオルで拭きましたよ。おじさん、起こしても起きなくて」
「……いやー、その、ゴメンな?」

そういえばシャワーも浴びずに寝た割には、身体がすっきりとしていた。
どうやらこのベッドのシーツも換えてくれたらしい。

「いえ、僕の方こそ、無理をさせてしまったようですみません。次からは気をつけます」
「あー、うん。俺、もうおじさんなんだから、もう少し気遣かって……て、つぎィ?」

ついうっかり流されてしまう所だったが、さりげなく提示された次回予告に俺は食いついた。

「はい、僕も気を付けますから、おじさんもストレッチしておいて下さいね。身体硬すぎますよ」
「なっ……、つ、次なんかねぇって」

バニーの目がすっと細くなる。
次の瞬間には両手首をベッドに押し付けられ、バニーにマウントポジションを取られていた。

「どうしてです?」
「どっ……、どうしても、だよっ!」

バーナビーの顔が近付いてきて、虎徹は反射的に顔を背けて避けた。
無防備にバーナビーの前に晒されることになった耳を、ぺろりと舐められる。
虎徹の背筋がぞわぞわと震えた。

「うぁ……」
「……僕とのセックス、気持ち良くなかったですか?」

わざとやっているんだろうが、舐められて濡れた耳にバーナビーの吐息が掛かる。
虎徹は仕方なくバーナビーの方へと顔を向けた。

「だーっ、気持ち良かったよ!」
「なら、いいじゃないですか」

何か言い返そうと思ったが、またふわりと笑ってみせるバニーの笑顔に俺は毒牙を抜かれた。
その笑顔は反則だろ。
くっくっと、虎徹の喉から笑い声が漏れ、バーナビーは虎徹の拘束を解いた。

「おじさん?」

不思議そうに首を傾げるバニーに手を伸ばし、俺はくしゃりと頭を撫でた。

俺もたぶん、お前のこと好きだわ、バニー。

俺は黙って、バニーの頭を抱き寄せて唇を合わせた。




[戻る]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -