No pain No gain.
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「うっ、あ…」

おじさんの身体が強張った。
腰にタオルを巻いただけのおじさんと違い、僕は着衣のままだ。
それでも、おじさんの太股に押し付けた僕のモノが硬くなっているのがわかったのだろう。

「答えて下さい、おじさん。あの人とはどういう関係なんですか」

おじさんの腰を撫で、タオルの下の臀部へと手を伸ばす。

「ば、馬鹿!どこ触ってんだ」
「答えて下さいって、言ってるでしょう」

相変わらずおじさんの抵抗は弱い。
だから、僕は期待してしまう。
おじさんも、僕のことを好きなのではないかと。
それと同時に、別の考えも浮かぶ。
おじさんは、こういうことに馴れているのではないかと。

「どういう関係も何も、アイツは…腐れ縁ってやつだ、ほら離せって」

腐れ縁じゃ、わからない。
僕が知りたいのは身体の関係があるかどうか、だ。
おじさんは僕の胸板を押し返してくるが、それ程大した力じゃない。
こんな弱々しい抵抗をされても、逆に僕を煽るだけなのに。
僕はおじさんの双丘の間へと指先を滑らせ、手探りで窪みを探り当てた。
再びおじさんの身体が強張る。
それには構わず、窪みに指先を当て押してみる。最初は弱く、それから力を込めて。

「イテッ!馬鹿、やめろって!」

狭いシャワー室の個室の壁で、したたかに腰を打った。
色気のない声と共に、僕はおじさんに突き飛ばされたのだ。
尻餅をついた僕は衝撃でずり落ちた眼鏡を直し、おじさんへと視線を向ける。

「あ、悪ぃ。大丈夫か?バニー」

なんと、おじさんは僕に向かって手を伸ばしてきた。いつもの、眉尻を下げた笑みすら浮かべ。
あんなことをしたのに、怒ってないんだろうか。
僕は小さく溜息をつき、おじさんの手を掴み立ち上がった。

「おじさん」

それでも、少し僕を警戒しているらしい雰囲気が伝わってきて、僕はそんなおじさんを刺激しないよう一定距離から近付かずに微笑みかけた。

「なんだよ」

おじさんは僕と視線を合わせようとしない。
けれど、僕が掴んだその手はそのままだ。
おじさんの手を持ち上げ、そっと接吻けた。

「すみませんでした、少し熱くなりすぎてしまって。好き、ですよ」

僕の接吻けた手の甲に視線を落としたおじさんの頬が赤いのはきっと、僕の気のせいではないはずだ。

「あー、もう!わかった、わかったから」

おじさんは頭をガシガシとやると、個室のドアを開け僕を外へと押し出した。

「おじさん」

何か言わなければ、何か言いたいと思う。
けれど、好きという以外に、他に良い言葉は浮かばない。

「服濡れてるぞ、ちゃんと乾かせよ」

おじさんは微笑み、僕の頭を撫でる。
ぽかんと立ちすくむ僕を一人残して、気が付くともう、おじさんの姿はなかった。



 
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