山吹の散る頃に




 久しぶりに来た大広間には、珍しく赤河童ひとりだった。
 イタクは緊張しながらも、その前に座り、淡々と山吹の状況について語った。

「率直にいえば、上々です。雨造と対峙した時、すんなりと技を使い果たしていました」

 教えていない、自分ならではの戦い方法を見出したのは、予想外だった。
 もう数年経つといえど、ここまでの上がりようは素晴らしい、と言えるだろう。それに加え、その技に妖力を乗せていたのもポイントのひとつでもある。

 みるときは興味は湧かなかったものの、あの戦いぶりはとてもではないが、子供とは思えないほどだった。


 ――――強い。


 そう、思った。

 それに、何と言っても畏れの使い方が合理的で完璧だったのだ。下手すると、自身よりも上手いかもしれない。


 イタクはそのことを口にすると、赤河童は「うむ」と満足そうに頷いていた。
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