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05

「立ち幅跳び!記録∞頂きましたー!!」





chapter:05





どーも!絶賛テスト中の皇テオでございます。
50M走での高記録からスタートし、俺っちとしては目を見張る記録を連発している。

個性を使うだけでここまで自分はこなせるものなのかーって自分で自分を誉めたくなった、嘘だけど!こんなんじゃ満足できねぇぜ!

握力は竜の腕力舐めんなぁ!って握ったら測定器の金具歪んだし、立ち幅跳びなんて体力の続く限り何処までも空を飛べるから記録∞だ。

まぁ無限に飛べる訳じゃないけど雄英の敷地は余裕で横断できるので今回は記録∞でいいらしい、やったぜ、いつか無限に飛べるようになりたい。

まだまだ本気なんて出してない、余裕の笑みで周りを見れば、皆色んな個性で種目をこなしている。
ボール投げなんてあの肉球女子が記録∞を出した、ボールはふわふわ浮いてそのまま何処までも行ってしまいそうだ、動物系じゃなくて浮かす系か…残念。

クラスメイト各々の個性を一人解析していると、一人気になるやつがいた。
モジャ毛の地味そうな男子生徒だ、彼だけ未だこれといった記録を出せずにいる。

聞く限りじゃ、ヒーロー科の実技入試ではロボットを破壊する内容だったらしい、つまり純粋な戦闘能力または無力化する術が必要。
彼だってそれを乗り越えてヒーロー科に来たはずだ、これまでの種目では彼の個性が活かせないのか?



「なーなー飯田、ちょっと聞いていい?」

「何だ?」

「あのモジャ毛の彼の個性、何か知ってる?今までの結果、あんま芳しくないみたいだけど」

「そのようだ…緑谷くんはこのままだとマズいんだが…」

「ったりめーだ、無個性の雑魚だぞ!」

「は?!無個性!?無個性でヒーロー科に入れたのあいつ」



飯田との会話に割って入った爆豪が怒鳴るように言った内容に俺っちは目を丸くする。
だって無個性でヒーロー科に入るなんて、相当の実力者じゃないか!

だが彼からはそんな実力者の雰囲気は感じないし、どっちかというと平凡くらい、どういうこと?と俺っちが首をかしげると、飯田の隣にいたふわふわ女子も首をかしげた。



「でも、彼って入試の時凄かったんだよ?」

「そうなのか?っと、俺っち皇テオっていうんだ、君は?」

「あ!私は麗日お茶子です、どうぞよろしくです」

「麗日さん!もしよかったらお茶子ちゃんって呼んでも」

「無個性!?彼が入試時に何を成したか知らんのか!?」

「は?」



俺っちが麗日さんに名前呼びの許可をもらおうとしたら、丁度飯田の声が被さった。
おいこらお茶子ちゃんとのお喋りを邪魔すんなよな!

仕方なしとモジャ毛の彼…緑谷に視線を向ければ、今まさにボールを投げようと振りかぶっていた。
……あれ、なんか今までと感じが違う…。

それがハッキリする前に、緑谷はボールを投げ…そして相変わらずの平凡な結果を出す。
その事に本人は酷く動揺していた、どうやら彼は個性を使おうとしていたらしい、なのに発動しなかった、と。



「個性を消した、つくづくあの入試は…合理性に欠くよ、お前のようなやつも入学できてしまう」

「消した…!あのゴーグル…!!そうか…抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!!!」

「……誰それ、俺っち知らないな…」

「私も知らなかった…個性を消す個性…!」

「…おい、今あのデク、個性を使おうとしたって言わなかったか?言ってねーよな?俺の聞き間違いか?」

「いやー、言ってたなぁ確かに、彼本当に無個性なのかー?爆豪」

「無個性に決まってんだろ!蜥蜴野郎!」

「え?それ俺っちのこと?うわ酷い!俺っち蜥蜴じゃなくてドラゴンなのに!」

「はぁ、ドラゴン!?なんだテメェ厨ニか!」

「ドラゴン…封印されし闇の龍…」



爆豪ってば蜥蜴とドラゴンを間違えるなんて酷いぞー!と大袈裟に落ち込んでみたらケッ!って言われた、ケッって。
もうヤンキーだなーこいつ…。

と、いつの間にか俺っちの横に知らないやつが立っていた、凄い、鳥みたいな頭をしている。
動物系多いなヒーロー科、ところでさっきの呟きって君?



「俺の名は常闇…貴様の個性は『ドラゴン』か?」

「おぉそうだぜ、俺っちは皇だ、おっと俺っちの角に触るなよ?これが折れれば俺っちのドラゴンの力が暴走するんでな」

「ふ…貴様もその身に強大な力を秘める者か」



常闇は満足げに笑い、緑谷のことの顛末を見守る姿勢に入った。
うん、彼はそういう人(厨ニ病)らしい、別に嫌いじゃないぜ?俺っちの個性は男のロマンだからなぁ!

そして運命の2回目、相澤先生の忠告で怖じ気づいたのか、ぶつぶつと何かを呟きながら投げるフォームをとる。
竜の聴覚ならこの程度の小声なら至近距離同然に聞き取れる、まぁ早口すぎて何いってんだか分かんないけども。

緑谷が振りかぶった、先程のような感じの違いはない、個性を使わず投げるつもりなのか。
ボールが手から離れる、その直前に、それは起きた!!



「SMASH!!!」



大砲のごとく飛び出すボール、一番最初、爆豪が投げたボールと大体同じ位置にそれはバウンドした。
記録705.3M、赤黒く腫れた人差し指と引き換えに彼が掴んだ結果だ。



「……なんだよあいつ」



俺っちと同じじゃん。

緑谷出久、俺っちが雄英に来て初めて出会った彼が、あのオールマイトの後継者だなんて想像だにしなかった。


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