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04

「せんせー、持久走で空を飛ぶのはアリですか!?アリ?マジで!」




chapter:04





グラウンドに集められた俺っち達を待っていた相澤先生、個性把握テストでは一般的な体力テストを個性使用可にして測定するという、何それ凄そう。

というか、いきなり自分の課題キター!?
……と説明を受けながら戦々恐々としていた俺っちだけど、よく考えたらいい練習だ、人を相手にしないで”この状態での”個性をフルパワーに使う。
自分の最大を知るいい機会だ、これは張り切って行かなくては!



「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何Mだった」

「67M」

「じゃあ個性を使ってやってみろ、円から出なきゃ何してもいい、早よ、思いっきりな」



そう言って先生は爆豪(朝キレまくってた爆発ヘアー君、そう言えばまだ全員の顔と名前が分からねぇ…)にソフトボールを投げ渡す。
円の中に入り、ニヤリと悪人面(失礼)で笑った爆豪は大きく振りかぶって…。



「死ねぇ!!!!」



…………しね?
やっぱ悪人面は正しかった…?いや、何いってんだ俺っち。
投げる直前に掌で爆発を起こし、それにボールを載せて投げる。
不穏な掛け声と共に遥か遠くに打ち上げられたボールは俺っちがギリギリ視認できる位置でバウンドした。
705.2M、彼の個性なし状態での記録の10倍以上の結果を叩き出した。

個性使用可の体力テスト、面白そうなイベントに沸き立つクラスメイトの声に億劫そうな声で相澤先生が呟いた。
トータル成績最下位は、除籍処分にすると。



「うちのクラスは21人とキリが悪い、ここで一人減ってくれた方が此方としては何かと楽で済む、生徒の如何は先生の自由…ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」



相澤先生の言葉に周りは動揺の声を上げる、そりゃそうだ、折角入った夢の雄英に入った途端おさらばなんてしたくない、俺っちだってしたかない。
故に皆全力だ、自分の、それこそ”個性”を最大限に活かして点を取りに行く。
目指すなら勿論一番っしょ!



と言うわけで始まりました、第一種目は50M走。
俺っちの中学時の記録は確か6秒ちょっと、ギリギリ5秒台切れなくて悔しかったことを覚えてる。

朝教室で爆豪に説教していた生真面目そうな眼鏡君が初っぱなから3秒台を叩き込む、マジか、いきなり凄いものを見た。

どうやら彼の個性は『エンジン』らしい、裾を捲し上げ露出させたふくらはぎの排出口から唸るようなエンジン音がする、成る程これは水を得た魚というところか。

一緒に走った女の子は両手を地面につけてピョンピョンと走っていった、正直いって可愛い、俺も動物(最早幻獣)系個性だから親近感が沸くんだよ〜しかも俺っちの個性ホントは四つ足だし。

そのあと両手に肉球みたいな跡がある可愛い子が走っていった、あの子も動物系だろうか。
ってさっきから女の子誉めてるけど、これ浮気じゃないからな?俺っちナナ一筋だからな??

そんでもって俺っちのターン、一緒に走るのは朝に仲良くなった切島だ。



「お前の個性いいな、空飛べれば持久走とか楽勝だろ?」

「まぁな〜これでも一番狙ってるしね」

「イチニツイテー」



お喋りもそこそこにジャッジの声で前を向く。
始めはスタンダードにクラウチングだ、飛ぶのもアリだけど短距離なら…。



「スタート」

「っ………!っし!」



開始の合図と共に前傾姿勢を維持、スタートダッシュの踏み込みに力の限り重みをおいて地面を蹴る。
なるべく翼を畳んで空気抵抗を下げ、尻尾は勿論バランスを取るため。
一心不乱に走り抜ければあっという間にゴールラインを越えていた。

3秒57、エンジン君にかなり近づいた結果だ。
俺っちが出された結果に満足していると数秒遅れて切島がゴールする、俺っちに負けたことに悔しそうだ、といっても彼は5秒台だ、普通の増強系で考えるなら速い方だろ。



「速いなぁお前!なんで飛ばねーの?」

「翼があれば必ず飛ぶと考えるのは早計だろう、しかしぼ……俺のタイムにかなり近付かれて悔しいところだ…」

「まぁ、空を飛ぶだけが能じゃないってことで!正直普通に生活してて空飛べる機会なんてあんまりないぜ?だから足だって鍛えてるさ」

「ふむ…む、挨拶が遅れた、俺は私立聡明中学出身の飯田天哉だ」

「俺上鳴!よろしくなー!」

「おう!俺っち皇ってんだ、よろしくー、っつっても除籍かかってるからよろしくしなくなるかもしんねーけど!」

「おま、縁起でもねーこというなよ?!」



エンジン君改め飯田はやはり真面目な奴のようだ、よくいる委員長タイプ、で、上鳴は対称的にチャラそう。
二人に挨拶していれば次の種目だ、流石合理主義者っぽい相澤先生、テキパキ先に進みますね!



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