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03

「晴れて今日から高校生…え?個性把握テスト?」




chapter:03





晴れて快晴、今日は絶好の登校日和というやつだ。
真新しい制服を着て…着て…き、着れねぇ…。

おいおい出端挫かれてますけど?挫かれてますけど?!

今更ながら俺っちの個性は『ドラゴン』だ、竜の角、竜の翼、竜の尻尾は標準装備。
勿論俺っちの体から直に生えてるんだから取り外しができるもんじゃない、いや、外そうと思えば外れるけどもうそれ切断だから…。

そういう異形系個性なもんで人間ベースの服は着れない、悲しいけど翼や尻尾が邪魔で着れない、そう!着れないんだよ!!
この個性飽和社会において俺っちみたいな異形系個性はごまんといる、それぞれのニーズに合わせて特注品を作るのは最早現代のファッション業界では当然の仕事だ、だから俺っちの服も全部お得意さんちの特注品。

なのに、なのに!雄英の制服が着れないってどういうことなの!?苛め?新手の差別ですかコンチキショー!!

力任せに制服に空いている狭い穴に翼を押し込める、おかしいなぁ、ちゃんと個性届と身体情報は提出したし、ちゃんと試着もしたのになぁ…!
ブチブチと服の繋ぎ目が悲鳴をあげそうになるまで奮闘していると、それを見たナナがポツリと言った。



「テオ君、そこ翼用の穴じゃなくて腕を通すところだよ?」



……………着れました!流石俺っちの恋人は優しいぜ!!

恥ずかしすぎて家を飛び出したあと最寄りの駅まで空を飛んでしまった、交番のお兄さんに浮かれすぎだと怒られました、解せぬ。




最寄りの駅から地下鉄を利用して約30分、そこに雄英高校は聳え立つ。
滅茶苦茶広い敷地にセキュリティ完備な出入り口、新たな新入生を迎えるべく、その門は大きく開かれていた。
期待と不安に俺っちの尻尾が左右に揺れる、ここで俺っちは自らの課題を乗り越えなくちゃいけないんだ。

自分にあてがわれた教室を探してやはり滅茶苦茶広い校舎内を歩き回る、これ最適ルート探さないと時間の無駄だよな。
「イチエー、イチエー」と繰り返しながら、ようやくたどり着いたのは1-Aとデカデカと書かれた、デカデカとした扉だ。
でかすぎだろ…天井まで5Mといったところか、でも横幅はそうでもないな、俺っちの翼を全開に開いたら引っ掛かる。

なんて下らないことを考えながら扉を開けた、音に反応して中にいたこれから俺っちのクラスメイトになるであろう連中が俺っちに視線を向ける。

恥ずかしいよなーこれ、と取りあえず会釈だけして黒板に書かれた自分の席に行って荷物を置く、一番後ろの席、まぁこんな翼あったら後ろの人見えないもんね仕方ないね。



「なぁなぁなぁ!お前のそれカッコいいな!!なんて個性なんだ?」

「お?サンキュー!!ただの異形系個性だよ、お前は?」

「俺は『硬化』ってんだけど…あ、俺、切島な!よろしく!」

「俺っちは皇、クラスメイト同士頑張ってこーぜ」



おう!と爽やかな笑顔を向けてくる切島は随分とフレンドリーな奴のようだ、こういう性格のやつは好きだ、話を一緒に盛り上げてくれるタイプ。
俺っちと切島の談笑に誘われて、他のクラスメイトも俺っちの席の周りにやって来た、どいつもこいつも面白そうな奴らだ、皆ヒーローを目指すんだからそんなの普通かもしれないけど。

皆は一般入試枠らしい、俺っちが推薦枠だと言えば驚かれたり、褒められたりと様々な反応だ、頭に丸っこいのがついてる背の低い男子生徒が「またイケメンで推薦かよ!イケメンじゃねーと推薦取れねーのか?!」と嘆いていた、イケメンだなんて上手いなーもう、男に言われても嬉しかねーけどな!

チラリと切島達から視線を外して少し離れた席を見る。
視線の先で、そこに座るきれいに真ん中分けされた紅白頭の男子生徒がこちらを向く。



「!」

「(軽く手を振る)」

「(少しの無反応ののち小さく振り返す)」



小さな反応だったが、返してくれたことに笑えば彼にはそっぽを向かれてしまった。
まったく照れ屋なんだからなー。



「キミ!机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか!?」

「思わねーよ!てめーどこ中だよ端役が!」



出入り口の方から突然の怒鳴り声、おうおういきなり喧嘩か?



「あいつって確か1年前のドロドロ敵事件の時の奴だろ?」

「…あー!あれか!え?あの爆発ヘアーの方だよな?」

「そうそう、おんなじクラスになるとは思ってなかったぜ」



切島が言い合う二人に割って入る前に、後から来たモジャ毛の男子生徒と可愛い女子生徒に話を折られた。
噂の爆発ヘアーの男子生徒は舌打ちして机の上から足をどける、何だかんだで根は真面目そうだなあいつ。



なんて和気藹々(?)とした連中を眺めていたら、このクラスの担任を名乗る男が寝袋に包まれたまま現れた。
え?こいつヒーローなの?と首をかしげて話を聞くと、体操服に着替えてグラウンドに来いと言われる。
え?入学式とかは?という俺っちの疑問の声に、時間の無駄と一蹴され、担任はそのまま教室を出ていってしまう、なんだあいつ。



「なんだろうなー、あれが担任か…」

「相澤先生…だっけ?合理主義者っぽいしさっさと着替えようぜ」



そうして体操服に着替えた(今度は!普通に着れたから!!)俺っち達を待っていた担任教師…相澤先生からいの一番に言われた内容が。



「個性…把握テストぉ?」


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