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02

「一般入試の実技試験で無双する?残念!俺っち推薦枠でしたー!!」





chapter:02





どーも、受験が終わりました、皇テオでございます。
一大イベントだと思われた受験、今までで一番面白味のないイベントだった。
何故なら俺っちは推薦枠で雄英に受験したのだ、一般入試と違って書類選考と面接、あと筆記試験だけ。
一般入試ならそれに実技試験もあるのだが、推薦入試はそれが免除される。

なんで今の俺っちは、ほぼ合格してるであろう通知が届くのを今か今かと待っている状態だ。
やっぱりこういうのはドキドキする、テストで赤点になってないか、問題は解けたけど合ってるか分からなくてもしかしたら赤点かもしれないけど多分合格してると思う、みたいな心境、伝わらない?それは失礼。



「さっきから尻尾が忙しないね、そんなに結果が気になるの?」

「ん?あー…これで落ちてたら凹むからさ、そんときは慰めてくれよなーナナ」

「テオ君なら受かるんだから止めておくよ」

「それはそれで残念…」



ソファの上でうつ伏せに寝転がる俺っちを、向こう側から背凭れに乗り掛かって覗き込んできた恋人がクスクスと笑う。
俺っちの彼女が可愛すぎて生きるのが楽しい…ッ!!!

彼女…帝ナナは俺の恋人だ、未来の嫁と言っても差し支えない。
もうまじ可愛い、ナナがいるから俺っち生きていけるんだ…。
俺っちと同じ金色の前髪を俺っちとお揃いでふわふわオールバックが、俺っちみたいなただ後ろに纏めただけな雑と違い女の子らしさが出てて良い、そもそもお揃いにしてくれるの最高。
俺っちと違って綺麗な青いストレートヘアーが太陽の光でキラキラしてるのを見ると…!もう…!分かる!?分かります!?ナナを更に輝かせるのは太陽なんだぜ?!



……………ごめんなさい、ちょっと落ち着くわ。
うつ伏せでよかった、俺っちの悶絶表情筋の歪みはソファに顔を埋めることでナナに晒さずに済んだ。
背中に翼と尻尾がある関係で仰向けになれないのがこんなところで功を奏するとは。



「ふふふ、ところでテオ君」

「なんだいナナ」

「これなーんだ」



明るく笑うナナの声に顔を上げれば、ナナは一つの封筒を俺っちの前にチラつかせる。
なんだ?と首をかしげてよく見れば、雄英高等学校の文字が。

まさか!と思ってガバッとソファから飛び上がれば、やっぱりナナに笑われた、くっそ、可愛い。
差し出された封筒を受け取り確認すれば、どうやら入試の結果通知のようだ、俺っちが今の今まで心踊らせていたものが目の前にある。



「ったく、ナナも意地悪なことするよな〜」

「ごめんなさい、テオ君の驚く顔が見たくて」

「許すー、許すよーもー!」



そんな可愛いこと言われたら許しちゃうよ当たり前だろ!?
ナナに一緒に確認しようと誘い、俺っちの隣にナナが座る。
封筒を端をビリビリ破いて中身を出せば、出てきたのは映像記録媒体。
こちらが何か操作するより先に媒体から映像が写し出される、そこから現れたのは我らがヒーロー『オールマイト』だった。



《映像機からァァ、私が映る!!》

「わぁ!オールマイト!なんでオールマイトが?」

《やぁ皇少年!何故私が話しているか気になるのかい?HAHAHA!それは私が雄英の教師になるからさ!》



ズイッ、と映像からこちらにサムズアップするオールマイト、黄色い声ですごいすごいと喜ぶナナを横目に映像の続きを眺める。



《推薦入試、合格おめでとう!!!これから君もヒーローの卵になるというわけだ!!輝かしい未来ある君の先輩として一足先に助言をしたいと思う》

「…助言?」

《自分自身を、怖がらないでやってくれ》

「……!」

《君が雄英でどう育っていくのか、楽しみにしているよ!!全てはこれからさ!Plus Ultra!!!》



プツン、と映像は消え、なんの反応もしなくなった記録媒体だけが机の上に転がっていた。
テオ君、と、隣に座るナナの声に視線を向ける。



「……頑張ってね、私、ずっと応援してるから」

「…ありがとう、ナナ」



ナナはなにも聞かずに、ただ純粋な応援の言葉をくれた。
ナナにもあのオールマイトの言葉の意味が分かるのだろう、だからこそ俺っちはその気遣いが嬉しいし、やっぱり大好きだなって実感する。



「さ!テオ君の合格も決まったことだし、お母さん達に報告しよ!」

「おー!」



書類の詰まった封筒を机に置き去りにして立ち上がる、その時記録媒体だけ拾って、部屋の隅の燃えないゴミ入れにそれを投げ捨てた。

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