パーソナルスペース
2014/06/02 22:15


「パーソナルスペースってあるじゃない?」
「ああ、他人との適度な距離のことだったか?」
「そうそう、それ」


何やら犯罪心理だとか、殺人鬼の言葉だとかいう怪しげな本を読んでいるルフレが突然顔を上げてそんな事を言い出した。


「一般人は前にパーソナルスペースが広いけど、犯罪者は後ろに広いんだってー。すごいよねー」
「ほう…」
「何が言いたいかって言うとさ…」
「うん?」



目を閉じて、軽く息を飲むルフレはやけに言葉を溜めている。



「君の距離は近すぎ!」
「何がだ?」
「二人で立ち止まる事があったら必ず僕は君の腕の中にいるんだけど…」
「何か問題でも?」



立ち止まって会話している時や、今みたいに本を読んでいる時ばかりだ。何か邪魔をしている訳じゃない。
さすがに人前では自重している。
問題ないだろう。


「あのねー。唇が触れるか触れないかの距離が適度な距離だって言ったら、捕まるよ!?」
「何でだ」
「君は信頼されてるからまだ何も言われてないかもしれないけど、普通は犯罪だよ!」
「誰にでもしてるわけじゃないんだけどな…」
「僕は君に犯罪者になってほしくないんだよー」




こいつは俺が誰彼構わずこの距離で接しているでも思っているのだろうか……。







セクハラクロムは健在です。





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