妄想文
下記の日記「ごめんなさい以下省略」で、こんな連載したいなっていう妄想をあらわしてみたものです。
息抜き手抜きなので色々ヒドイです。
そして読みづらいかもしれません、それでもOKって方は、どうぞ!
気配を感じて目を開けると、今日も彼が居た。
そして今日も機嫌が悪そうである。この人っていつもこうなのかな、疲れそう。
鋭く刺すような視線を無視して起き上がり、伸びをするとぽきりと背中が鳴った気がした。
今日はとても疲れていたから、そんな気がしたのかもあhしれない。
でも実際は何も鳴ってないのだと思う。
だってここは夢の世界で、身体は時を止めたままなのだから。
精神だけが、この世界ではくるくるとせわしなく動いている。
ここには、日々の雑音が届かない。
雑音から隔離されたこの世界は静か過ぎて最初こそなんとなくそわそわしたものだが、慣れてしまえば天国のようにすら感じた。
「今日は早いんですね、卿。昨日来なかったから寂しかったですよそれなりに」
「ハッ、笑わせる。本音を言うならば、静かでよかったのだろう?」
「てへバレた。卿も眉間に皺よってますね、それいつ消えるんですか?それともメイク的な何かですか?オシャレなんですか」
いつものようにくだらない冗談を言って、彼を挑発してみる。
するとまたいつものように彼は、服のポケットに手を伸ばして木の棒をとりだし、
「アバダケダブラ」
その瞬間棒の先っぽから光がひゅん、と私めがけて飛んでくる。
それは私の胸元をに吸い込まれ、あっけなく消える。
驚きもせず、冷めた目でじっとその行為を見つめる私に、彼は舌打ちをした。
「いつも思いますけど、ほんとすごいですね。これなんて手品なんですか?私もやりたいです。そして一大スターになる」
「お前は俺様を腹立たせる事しか言えぬのか。…………もういい、疲れた」
諦めたように吐き捨てて、草むらに身体を沈ませた。
ため息をついている。
本当に疲れているらしい。
下らない冗談を言った事を少し後悔したが、黙って彼の隣に座ってみる。
いわく。
私には、彼の言う「魔法」とやらが効かないらしい。
最初は、それこそ何度も殺されそうになったけれど、私には一切傷がつかない。
四肢を蹴られても殴られてもどつかれても首を絞められても呼吸が乱れることも痛みを感じることもなく、先程の怪しい光で、本来ならば絶命するらしいがそれも無い。
実験と称して私は彼の手に爪を立ててみたりしたが、傷跡が残ったり、やはり痛みなどの害はないのだった。
そして確信した、ここは夢の世界なのだと。
「僭越ながら一曲歌って差し上げましょうか卿」
「子守唄など俺様にはいらん。下らぬ事を言っているぐらいなら死ね」
「ひどい」
それからは彼も、どうせ無駄なのだからと攻撃をしてくる事は…………多少は、減った。
私が冗談を言ったり煽ったりすると先程のようにヘンな手品をしてきたりあるいは殴られたりという事もあるけれど、実害は無いのでまあよしとしている。
私もたまに反撃をすることもあるし、おあいこだ。
「ねんねんころりよーおころりよー」
「………………音痴」
「オイ失礼だろーがせっかく歌ってあげてるのに」
「頼んだ覚えは無い」
「…………はいはいおやすみなさいついでに永眠しろよなバカ卿」
「馬鹿はお前だ」
「はいはい」
彼は名前を教えてくれない。
あげく彼は自分の事を「卿」と呼べと、強要してきた。(ってなんかシャレみたいだ。まあ冗談は置いとくとして)
そして私も名前を名乗っていない。向こうが名前を名乗らないのだから、こちらだけ教えるのは癪だ。
それに教えたって彼は呼ばない気がしたし、実際、こうして顔見知り程度に親しくなった今でも、名前を聞いてくるどころか、お前、貴様、ですんでいる。
「卿、」
「……何だ」
「明日来る?」
そして奇妙なことに、私は彼と過ごすこの時間を気に入っている。
こうして時間を共にしていても、彼は何も詮索をしてこないし、私もしない。
ただ憎まれ口をたたきながら、隣に居るだけ。
静かな世界で、名前も知らないイケメンさんと二人きり。
夢見る乙女なら誰だって嬉しいだろう。
そんな、まさに夢みたいな設定の中、私は毎日夢の世界に入り浸っている。
とかそんな感じで。
ここまでお付き合いくださった方、どうもありがとう御座いました!