バレンタインネタのアレ
テーブルの上で甘い香りを放っているチョコレートを、ヴォルデモートさんが煩わしそうに一瞥する。
「無駄口を叩く暇があるなら、さっさとそれを片付けろ」
「はあい。あ、ヴォルデモートさんも食べるの手伝って下さい！」
「お前が出せと強請ったのだろう。最後まで責任を持て」
「良いじゃないですか、ちょっとくらい」
何て言ったって私は、自分で作った分のチョコレートも食べなきゃいけないのだから。
勝手に作ったのは私だし渡せないのも自業自得だけれど、ほらカロリー的な面が乙女としては気になりますし。
「はいっあーん！」
チョコレートを指先で摘まんで、彼の口元にそれを押し付けてみる。
にこにこする私にヴォルデモートさんはこれでもかという程顔を顰め、
「え、」
差し出したチョコレートに、ぱくりと噛みついた。
「な、何で……」
驚いて固まる私を横目に、彼はそのまま苦い顔で数回咀嚼し、飲み込んだ。
そして、にやりと意地悪な笑みを浮かべる。……正直めちゃ格好いいのでやめて頂きたいですそのお顔。
「どうした？ 顔が赤いぞ、」
「う、……熱いんですほっといて下さい！」
だってまさか、のってくれると思わなかったんだもん。
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バレンタインネタでやろうかな？と思ってやらなかった定番の「あーん」ネタでした！