君を喰らわば骨まで

 それがいやだと言っているわけではないが、とにかく恥ずかしい。しかも、最後に抱き合ったのは龍宝が刑務所へと入る直前の夜で、帰ってきてすぐに抱いてもらおうと思っていたら死んだと聞かされ、実は生きていて今こうしてこんなことをしているなど、どんな体験なのだろうと思う。
 改めて鳴戸を見ると、上機嫌な笑みを浮かべながら既に勃っている乳首をぴんっぴんっと指で跳ね上げてきて、へその窪みからは手が離れている。
「んでも、とっておきの場所はあとからじっくりとな。まずは、乳首でもかわいがってやるか」
「あっ……やっ……」
「いいだろ? ちゃんとへそは最後にいじり倒してやるから。乳首いじんねえとセックスしてる気にならねえんだよ」
「せっく……! 言葉を慎んでください!! もっとなんか言い方があるでしょう!?」
「セックスじゃねえ? セックスはセックスだろ。なんだよ、交尾とか?」
「ちがっ……もういいです、続けてください! デリカシーの無い人です! ムショに入る前からそうだったのを忘れてました!」
「なんだよ、怒るなって。ほら、ココ……こうしてさ」
 右胸に顔を寄せてきた鳴戸は、上目遣いで龍宝を見て龍宝も目を伏せながら鳴戸を見ていると、目線を絡ませながら舌を出し、ゆっくりと乳輪含め乳首を大きくべろりと舐められる。
「あっ……ん、んんっ」
 そのままちゅぶっという音と共にすべてが口のナカに消え、舌で勃った乳首を突くようにして刺激される。ここはさほど弱くもないところだと思っていたのだがどうやら、開発された性感帯は健在らしい。
 何しろ、ここをこうして感じるようにされたのは他でもない、鳴戸の手や口によってのものだからだ。まるで焦らすようにして舌を使われ、ぢゅっぢゅっと音を立てて舐めしゃぶってくるその卑猥さに、顔を真っ赤に染める龍宝だ。
 淫猥すぎる。
 だが、興奮はすると思う。その上目遣いを止めて欲しかった。どうしても目が離せなくて、自分の乳首がいいようにしゃぶられているのを目にするのは、些か刺激が強すぎる。
 セックス自体、何しろ久々過ぎて忘れていた感覚がどんどんと目覚めてゆくのを感じる。それが、やたら恥ずかしく、そして嬉しかった。
 いやいやをするように首を振ると、さらに激しく乳首を責められ、舌でべろべろと舐められ吸われるとどうしても快感が襲ってきて、啼き声が漏れ始めてしまう。
「あ、あっ……んん、あああ……おや、ぶんっ」
「イイならイイって言ってもいいんだぜ。言えよ、イイって。もっとしてやる」
「はあっはあっ、あっあっ、い、イイッ……気持ち、気持ちいっ、ああっ、ああイイッ……!」
 そう言って首を仰け反らせると喉仏を柔く食まれ、下から掬い上げるようにしてキスされてしまい舌を思い切りしゃぶってくる。
 乳首と同じしゃぶられ方を咥内でされ、口でも感じてしまい「あっあっ……んん」とかすかな声を出すと、口づけられながら両乳首を親指と人差し指で抓まれ、くりくりと捻られる。
「んんっ、ああっ……や、やっ、おやぶんっ、は、恥ずかしい。や、ですっ……やっ」
「べつに乳首で感じることくらい恥ずかしくねえだろ。男だって感じる場所なんだからよ。極道が感じてたっていいだろうが」
「やっ……! い、今は一人の親分を想う男として見てください。そんな、極道だからだなんて聞きたくないです。いやですっ……」
「オマエって……結構デリケートなのね。そういえばそうだったか。かわいいヤツだったもんなあ。今でもそれは健在ってか。嬉しいねえ。かわいがり甲斐があるぜ」
「お、親分はいちいちやらしい!」
「でも、好きなんだろ? 俺のこと。仏壇に弾ブチ込んだらキレてくれるくらいさ、好きなんだもんなあ」
「そ、それとこれとはっ……いえ、キレはしましたけど。だって、許せなかったんです。大好きな親分がいる仏壇に弾ブチ込むなんざ、とんだクソ野郎だと思ったらそれが親分本人だなんて、笑えませんよ。これでも根に持ってるんです」
「悪かったって。あの時はああでもしなきゃ事は運べなかったし、俺が生きててここにいるだけで、お前は幸せじゃねえの?」
「それはっ……幸せ、です。すごく、幸せですけど……でも、親分はすぐにここから出て行ってしまう……」
「言うな、そのことはいま言うべきことじゃねえ。未だ責め足りねえかな。そろそろへそいってもいいんだけど、どうする?」
「なぜ聞くんです! そんなの、決まってるでしょう。……へ、へそを、いじってください……。親分の手で、いいようにして……」
「うん、ちゃんと言えるイイコの龍宝は健在だな。そっか、へそがいいか。んじゃ、下も脱がすぞ」
 そう言うなり、かちゃかちゃと硬い金属音を立ててベルトが外されるのに、羞恥が爆発し思わずスラックスの前を手で押さえてしまうが簡単に退かされてしまい、するっと下着と共に下穿きが脱がされ、靴下まで放られ生まれたままの姿になった龍宝は改めて全身をベッドに沈まされる。
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