ナイフで突き抜く心臓を

 じろじろと見つめられ、顔を赤くして目を伏せるとひたりと胃の辺りに鳴戸の熱い手が乗る。
「お前、しっかりした身体つきになったなあ。筋肉がモリモリじゃねえか。でも、腕っぷしは俺の方が強いけどな。けど、かわいい顔にその身体ってアンバランスでそそられる」
「そ、そんなに見ないでください! 見世物じゃないです! それより、へそ、へそを……」
「へそ? へそをどうして欲しいんだ。言ってみな、もう一回ちゃんと、言ってみろ」
 キッと龍宝は鳴戸を睨みつけ、大声を放つ。
「へそをいじってください!!」
 肩で息をして、ベッドに沈み顔を背けるとくくっと鳴戸が笑ったのが分かった。
「ホント、かっわいいよなあお前。背も高くなったし、身体もしっかりしたのにかわいさだけはしっかり残ってる辺りがそそられるところだよ。かわいいな、龍宝」
「か、かわいくなんかっ……んっ! ああっ!! あっあっ、んっ!!」
 言い返そうと開いた口から出た言葉はすべて喘ぎに変わり、鳴戸が胃の辺りを舐め出したことで怒りはすぐに萎み、その代わりに快感が湧き上がってくる。
 頭に敷いていた枕を逆手に掴み、舐められるたびに身を捩り熱い吐息を漏らす。
「相変わらず、甘い肌してんな。だんだん思い出してきたぜ、お前が美味かったこと。なんかいい出汁でてんのか? んん?」
「だ、出汁なんてでてなっあっあっあっ!! あぁっ!!」
 いきなりへそを大きく舐められ、言葉も喘ぎに変わる。すぐに身体の方が反応を示し、つい啼いてしまう。何しろ、突然弱いところを集中的に責められたのだ。それは啼きもするだろう。
「やうっ! うああっ、あっあっあっ、おや、おや、親分ソコッ、ソコはッ!! あっあああ!!」
 へそからへその周りからしっかりと舐めしゃぶられ、甘い声が出るとそれに気を良くしたのかへその窪みに舌先が入り、くちゅくちゅと音を立てて抉られてしまい、一番感じるところをそんなにされて正気でいられる人間がおかしい。
 それほどまでに感じてしまい、勝手に身体が捩れてしまいシーツの上を泳ぐと鳴戸はしつこく追ってきて、胃や下腹までもを丁寧に舐めてくる。
 もはや半泣きで快感を訴える龍宝だ。強すぎる快楽は、時として毒にもなる。苦しくて仕方ないのだ。気持ちよすぎて苦しい。
「やっ、やめっ! 止めてくださいッあああ!! やっ、親分っ、だめ、だめですっ! やっやっやめっ!」
「なにがだめなんだって。気持ちイイんだろ? 待望のへそだぞー。龍宝、へそが良かったんじゃなかったのか。んっ? 好きだろ、へそ」
「やっ、あああああー……!!」
 さらに熱心にゆっくりとへその上を舌で舐められ、思わず快感で背が海老反ってしまう。その快感は股間に持っていかれ、既にそこははちきれんばかりに勃起し、射精の時を今かと待っている。
 抱き合っている時から勃ってはいたが、久しぶりの情交からか興奮と快感が今すでにマックスに達しており、すぐにでも暴発してしまいそうなくらいには限界が来ている。それを鳴戸に言わないのは、せめてもの意地だ。
 だがそれにも限界はある。
 鳴戸はいたずらに胃の辺りを舐めてきて焦らしたり、へそを丁寧に舐めしゃぶって窪みに唾液が溜まるくらい丁寧に舐めては窪みに舌先を入れて抉ってみたりとやりたい放題だ。
 あんまりにも龍宝が身を捩るため、それを封じるように両腕で身体を抱え込まれその上で、さらに追い打ちをかけるようにへそをしゃぶってくる。
 弱いところを知られて責めてもらえるのは嬉しいことだとは思うが、ある意味失敗だったのかもしれないとも思う。ここまで好き放題されてしまっては、快感が過ぎてしまって苦しくてしょうがない。
 さらに鳴戸はへそ責めを激しくして、窪みに犬歯を引っ掛けぢゅっと思い切り吸われると真っ赤に咲く鬱血痕ができ、少しの痛みに耐えているとまるで謝罪のようにじっとりゆっくり鬱血の痕を舐めてくる。
 そんな風にされるのなら、噛まなければいいのにと思うが純粋に鳴戸の痕が身体に残る嬉しさもあり、複雑な心境で愛撫を受け止める。
 そのままへそ責めは未だ続き、じんじんとした快感がへそ周辺から下半身をぐるぐると回るように熱さも兼ねて疼きという形で龍宝を追い詰めてくる。
「はあっ、はっはっはあっ……お、おやぶん、おやぶん、もうっ、もっ、やめっ……!」
 だが、鳴戸は止めてはくれずさらに熱心にへそを舐めてくる。もはや舐められ過ぎて胃の辺りから下腹辺りまで皮膚が真っ赤に色を変えてしまい、唾液でてらてらと光っている。
 その唾液すらも残らないよう、またしても舌を乾かしながら丁寧に舐め始め、弱いところばかりを責められ、悶絶しながら愛撫を受け止める。
 するとやってくる、波のような射精感。強くイキたいと思う時もあれば、未だ我慢できるといった様にへそを丁寧に舐められればイキたくなる。だが、胃の辺りを舐められる時は何とかやってくる射精感から逃れられることもできると言ったそういう波が交互にやって来る。
 また、その波が厄介で気紛れに鳴戸がいろいろなところを舐めては食んでくるため、そのたびにイキたいという衝動がランダムに襲ってきたりしてそのたびにイキをこらえなければならない。多分だが、それが目的であちこち舐めたり食んだりしてくるのだろうが、そういったことが平気でできる辺り、場慣れしていると思う。
 セックスという駆け引きに長けているとでも言えばいいのか、とにかくそこら辺が上手いのだ。
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -